9月28日

ザ・ベストテンのディレクターが語る!工藤静香と南野陽子が楽しんだ “とんでも演出”

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「ザ・ベストテン」のランキングを賑わしたアイドル四天王


TBSの音楽番組『ザ・ベストテン』、私が担当した、この番組の最後の2年間、常にランキングを賑わし番組の常連だったのが、80年代アイドル四天王の4人、浅香唯、工藤静香、中山美穂、南野陽子だった。1987年から1989年の間、この4人は毎週のように出演してくれた。今回は、そのうち、工藤静香、南野陽子についてお話ししたいと思う。

工藤静香は、『ミスセブンティーン コンテスト』」から、15歳で “セブンティーンクラブ” の一員としてデビュー。その後、“おニャン子クラブ” の会員番号38番で人気を獲得、その中のユニット “うしろ髪ひかれ隊” としても活躍した。

そして、87年「禁断のテレパシー」でソロデビュー。『ザ・ベストテン』では、89年9月17日、いきなり2位にランクイン。その2週後の10月1日、年に1度の全面公開生放送である『ザ・ベストテン IN 仙台』では、8,000人の観客の前で堂々と歌い上げてくれた。ちょっとワイルドでミステリアス、ちょっぴり泣き顔の個性的な女の子で、他のアイドルとは全く印象が違っていた。

その後、順調にヒットを連発、私も毎週のように、スタジオや中継先でご一緒させてもらった。実はとても明るく人懐っこい女性で、会うといつも「薫さーん」と言ってむこうから声をかけてくれた。

工藤静香のとんでも演出は「MUGO・ん…色っぽい」で。鹿児島公開生放送予告バージョン!


そして、88年9月22日「MUGO・ん…色っぽい」が、『ザ・ベストテン』で初の首位獲得。2週連続1位の後、一度は男闘呼組に首位を奪われるが、10月2日、首位に返り咲き。勢いと粘りを見せつけた。



9月29日の1位は静香。翌週は年に一度の公開生放送『ザ・ベストテン IN 鹿児島』を控えていた。そこで担当ディレクターだった私は、1位の静香の歌の中に翌週の告知も入れようと思い、桜島のセットの前で歌ってもらおうと考えた。そして、彼女の歌のバックに、鹿児島名物のさつま揚げ、桜島大根、ラーメン、焼酎のとっくりなどの着ぐるみダンサーを登場させ、踊らせることにした。歌の世界とは全く関係のない、いわゆる『ザ・ベストテン』名物の “とんでも演出” で、歌いにくい、歌と世界が違うといやがられると思ったが、彼女は面白がって楽しそうに歌ってくれた。

明るくざっくばらんで気さくな彼女だから快くやってくれたのだろう。この曲は、88年年間ランキングでも第6位の大ヒット、以降、「恋一夜」は6週1位、「嵐の素顔」は4週1位、そして89年9月28日の最終回、最後の1位に輝いたのが、静香の「黄砂に吹かれて」だった。12年間の『ザ・ベストテン』のラストに有終の美を飾ったのである。その後も、いつ会ってもあの時と同じ笑顔で迎えてくれるのは嬉しい限りである。

いつも凛として優等生的イメージだったナンノ、「話しかけたかった」で1位をゲット


そしてもうひとり、ナンノこと南野陽子。CBSソニーのオーディションを経て84年ドラマでデビュー。85年「恥ずかしすぎて」で歌手デビュー。同年ドラマ『スケバン刑事Ⅱ 少女鉄仮面伝説』で主役の麻宮サキを演じて大ブレイク、トップアイドルの仲間入りを果たした。

87年「楽園のドア」が『ザ・ベストテン』で最高3位、連続ランクイン8週のロングヒットとなる。そして次の「話しかけたかった」が、5月7日、初の1位をゲット。以来彼女も番組の後期の常連として大いに貢献してくれた。いつも凛として優等生的イメージだったナンノ、初めの頃は緊張してたのか硬さが抜けなかったが、常に真摯でていねいに対応してる姿はとても好感が持てた。

「秋からも、そばにいて」の生歌唱の時は、緊張のあまりか、歌詞を途中で忘れてしまい、もう一度最初から歌いなおすというハプニングもあった。ちなみに12年間の『ザ・ベストテン』で、歌詞を忘れて途中で止めたのは、ナンノと「俺ら東京さ行ぐだ」の吉幾三の2人だけである。

「吐息でネット」でランクイン! ナンノがひときわ可愛く輝いた “美女と野獣” の、とんでも演出


88年3月「吐息でネット」でランクインした時、私の担当回で、満開の桜の木の下、歌の途中からキョンシーの大群がピョンピョン入ってくるという演出を行った。



当時巷はキョンシーブームで、曲のリズムがキョンシーの動きに合ってることもあり、怪しげな花見という演出を考えたわけである。ナンノの周りを10人ほどのキョンシーが飛び跳ね、踊り、最後はテンテンがキョンシーの額にお札を貼って終わるという、曲とは何の関係も無い、これまた “とんでも演出” だったが、さすがトップアイドル、いやがりも笑いもせず堂々と歌ってくれた。

キョンシーの中で、ひときわナンノが可愛く輝いていた。まさに “美女と野獣” の演出だったと自負している。その後、彼女は女優業がメインとなっていったが、節目節目でお会いすることも多く、今はすっかり落ち着いた大人の女性になり、ますます活躍の場を広げている。

静香とナンノ、12年間続いた『ザ・ベストテン』の歴史の最後のページを飾り、昭和という時代、80年代という時間の最後を彩ったスーパーアイドル、そして今でも第一線で活躍している2人に心から感謝と敬意を表したい。

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2023.09.28
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カタリベ
1955年生まれ
齋藤薫
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