1998年 6月3日

歴史に残る自転車ソング!ゆず「夏色」スペースシャワーTV と FM802 から大ブレイク!

55
0
 
 この日何の日? 
ゆずのデビューシングル「夏色」発売日
この時あなたは
0歳
無料登録/ログインすると、この時あなたが何歳だったかを表示させる機能がお使いいただけます
▶ アーティスト一覧

 
 1998年のコラム 
ガールポップ時代の実力派シンガー【森川美穂】90年代最後の挑戦的アルバム「tasty」

江角マキコの痛快コメディドラマ【ショムニ】主題歌はSURFACE「それじゃあバイバイ」

the brilliant green 初の日本語詞「愛のある場所」は “ブリグリ” の音楽の中にある!

中森明菜のリミックス「Regeneration」これって90年代のフューチャーファンク?

桃井かおりと田中美佐子がダブル主演!TBS金曜ドラマ「ランデヴー」主題歌は華原朋美

反町隆史主演の学園ドラマ「GTO」元暴走族の高校教師・鬼塚英吉が時代の風穴をあける!

もっとみる≫




夏の名曲の代表選手、ゆず「夏色」


夏の名曲は数多いが、ゆずの「夏色」はその中でも極めつきの代表選手と言えるだろう。なんと今年でリリース25周年。そりゃ俺も年取るわけだ―― と感慨に耽っている場合ではない。

―― ということで今回はゆずのファーストシングルにして邦楽史上に輝く名曲「夏色」の魅力に迫りたいと思う。

まるで時代に逆行するかのような出立ちでアコースティックギターを携えた “ゆず”


史上最もCDが売れたという1998年。異色の若手アーティストが横浜から大きく羽ばたいたのもこの年だった。半袖Tシャツにジーンズ姿、どこにでもいそうな “普通のお兄ちゃん” 二人組のグループ名は、ずばり「ゆず」と言った。

異色と書いたのには理由がある。当時の音楽シーンはTKサウンドを主としてシンセサイザーを多用したアップテンポなダンスミュージックが主流だった。一方でバンド界隈はビジュアル系が全盛期を迎えており、まるで時代に逆行するかのような出立ちでアコースティックギターを携えたゆずは、明らかに浮いた存在だったのだ。

伝説として語られる横浜松坂屋前での路上ライブは、毎回人だかりができるほどの好評を博していたが、当時はたくさんの若手アーティストがネクストブレイクを狙って渋滞していた時代である。インターネットも十分に普及しておらず、若手がメジャーシーンの前線に躍り出るにはメディアの力が不可欠だった。

転機になったスペースシャワー「POWER PUSH!」


ゆずにとって転機がおとずれたのは、98年6月のことだ。メジャーファーストシングル「夏色」が大阪で聴取率トップを誇るFM802のヘビーローテーションに選ばれ、さらにスペースシャワーTVの「POWER PUSH!」にも抜擢されたのだ。

感度の高い音楽ファンを対象とした両メディアで繰り返しオンエアされたことで、ゆずの人気はローカルを飛び越えて一気に全国へと拡散した。

あの夏、「夏色」のミュージックビデオをいったい何回見たことだろう。記録を振り返るとオリコン最高17位と意外なほど控えめだが、少なくともスペシャでは「POWER PUSH!」に加えて他の番組でも積極的にオンエアしていた記憶がある。

懐古趣味とは一線を画する「夏色」のポップな魅力


ゆずは、とにかく爽やかだった。アコースティック志向のアーティストは他にもいたが、ゆずの瑞々しさは唯一無二。素朴な顔立ちが可愛らしい岩沢厚治、タンバリンを叩きながら終始笑顔を絶やさない北川悠仁の「フォークデュオ」と呼ぶにふさわしい装いは、かつてのフォーク全盛期を知らない世代にとっては目新しく映ったものだ。

それでいて懐古趣味とは一線を画するポップな魅力が「夏色」にはあった。AMラジオや有線放送ではなく、FMラジオとスペシャから火が付いたのも、彼らが中高年向けの青春リバイバル的な文脈から出てきた存在ではないことを物語っていた。



夏の情景を音楽で描くセンス、邦楽史上に残る “自転車ソング”


「夏色」は、詞、曲ともに夏の情景を描くセンスが突出している。明るく爽やかなメロディ、16ビートのストロークが続くアップテンポで心地よいリズム。メインボーカルを務める北川のあっけらかんとした歌唱と岩沢の透き通るようなハモリの調和で湿っぽくならず、楽しさと切なさが入り混じる夏休みの日常感がみごとに表現されている。

「駐車場のネコ」「大きな五時半の夕やけ」「この長い長い下り坂」に象徴される風景描写も、まるで夏のワンシーンを目の前にしているかのようだ。そして、忘れてはならないのが「自転車」の存在である。ミュージックビデオでも青い空をバックに自転車をこぐ二人の姿が映し出されるが、

 君を自転車の後ろに乗せて
 ブレーキいっぱい握りしめて
 ゆっくりゆっくり下ってく

―― というフレーズの甘酸っぱさは、時代を越えても色褪せることはない。

「夏色」は夏ソングであると共に、邦楽史上に残る “自転車ソング” でもあるのだ。

もうじき夏がくる。きっと今年も色々な場所で「夏色」を耳にすることだろう。どれだけ年月が流れても決して古びることのない永遠のスタンダードナンバーとして、「夏色」はいつまでも日本の夏を彩り続けるだろう。

m

▶ ゆずに関連するコラム一覧はこちら!



2023.06.03
55
  Songlink
 

Information
あなた
Re:mindボタンをクリックするとあなたのボイス(コメント)がサイト内でシェアされマイ年表に保存されます。
カタリベ
1985年生まれ
広瀬いくと
コラムリスト≫
22
1
9
8
8
NHKの一大決心? オリンピックのテーマソングは浜田麻里から始まった!
カタリベ / かじやん