2025年 4月25日

岩崎宏美デビュー50周年コンサート!ラストを締め括る1曲は今後の歌手人生に対する決意?

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岩崎宏美コンサート「デビュー50周年記念コンサート ~永遠のありがとう~」開催日(東京 昭和女子大学 人見記念講堂)
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今年デビュー50周年を迎えた岩崎宏美


今年 = 2025年は “昭和100年”。ということは、昭和50年(1975年)にデビューした歌手は今年50周年を迎えたことになる。その1人が岩崎宏美だ。

日本テレビ系のオーディション番組『スター誕生!』の決戦大会で8社から獲得を希望するプラカードが上がり、1975年4月25日、阿久悠作詞・筒美京平作曲の『二重唱(デュエット)』でビクター音楽産業からデビューした岩崎。それからちょうど半世紀が経過した2025年4月25日、東京・昭和女子大学の構内にある人見記念講堂で『岩崎宏美 デビュー50周年記念コンサート〜永遠のありがとう~』が開催された。

このコンサート、私は残念ながら仕事があり観に行けなかった。足を運んだ知人たちは一様に“ホント、いいものを観た” “ヒロリンはやっぱり凄い!” と感激。ご本人はMCで “昔のようには歌えないから” と前置きしていたそうだが、何をおっしゃいますやら!今も豊かな声量はまったく衰えていないし、半世紀にわたって第一線で活躍を続けている歌手はそうはいない。人見記念講堂は席数が2,000以上ある大きいホールだが、チケットが早々と完売したのも頷ける。

知人たちの話を聞くにつけ “ああ、行きたかったなァ” と思うことしきりだったが、嬉しいことに、6月29日(日)夜8時から、CSの『歌謡ポップスチャンネル』でコンサートの模様が放送されるという。絶対観るゾ、と思っていたら、そのレビューを書いてほしい、というありがたい依頼をいただき、ひと足お先に映像を観る幸運に預かった。

ということで今回は放送前に、この『岩崎宏美 50周年記念コンサート』の見どころと注目のポイントをざっとご紹介したい。私のように生で観られなかった方のほうが多いと思うし、9月以降に追加公演も予定されているので、ネタバレは必要最小限にとどめることにする。

20代の頃のヒット曲をメドレーで歌いつつ、重要曲はじっくりと聴かせる構成


ヒット曲・代表曲が多数ある岩崎だけに “これはマストで聴きたいよね” という曲を挙げていくだけでも、すぐに30曲を超えてしまう。しかし1回のコンサートで歌える曲数には限界があり、岩崎も何を歌うべきか、昨年からずっと選曲に頭を悩ませたそうだ。最終的に納得のいくセットリストが出来上がった。

今回のコンサートは2部構成で、第1部は聴かせる曲、心に沁みる曲が中心。第2部は10代・20代の頃のヒット曲をメドレーで歌いつつ、重要曲はじっくりと聴かせる構成になっている。また客席前方には、デビュー時から岩崎を支えてきた “親衛隊” のメンバーが “I♥ 宏美” と書かれたハチマキを締めて集結。岩崎を半世紀にわたって応援してきた彼らのコールも年輪を感じさせて貴重だ。

第1部は、ピアノソロのイントロで始まるバラード曲「五線紙の上」からスタート。岩崎の歌手人生を凝縮させた、まさに50周年にふさわしいオープニング曲だ。続いて、岩崎が “生き神様” と呼んで敬愛するさだまさしの作品を2曲披露。この冒頭3曲で早くも “宏美ワールド” に引き込まれてしまった自分がいた。

さだ作品2曲のうちの1曲は「♪何を残そうかな 今日生きた記念に」という歌詞で始まる「残したい花について」。さだが岩崎を花に喩えて書き下ろした曲だが、“花” という単語が一切出てこないところがさだらしい。岩崎の堀越学園の後輩でもある堀ちえみは、デビュー前から岩崎の大ファンで、がん闘病中にこの曲を聴いて生きる勇気をもらったという。岩崎の歌で救われた人は多い。



「火曜サスペンス劇場」のエンディング曲メドレーは圧巻


3曲歌ったところで、最初のMCが入る。50周年という重みから “久々に足がガクガクと震えました” と告白する岩崎。楽屋では妹・岩崎良美から “とにかく楽しんでね” と目に力を入れて睨みつけられたので(笑)、“これはちゃんとしないと怒られるな。(50年やっていても)こういう気持ちってまだ起こるんだな” と思ったそうだ。

“こんなに大きな会館で、2,000人の方たちにお祝いをしていただけるなんて、夢にも思っていなかったので、感激でいっぱいです” と会場を埋め尽くしたファンにあらためて感謝すると “それでは皆さんどうぞ、お楽しみください!” と再び歌の世界へ。「家路」に始まる『火曜サスペンス劇場』(日本テレビ系)のエンディング曲メドレーは圧巻。どれもしっかり聴きたい名曲ばかりだが、メドレーにしないと時間が足りない。これも岩崎ならではの贅沢な悩みだ。

第1部の最後を締めくくるのは、今回のコンサートのサブタイトルにもなっている50周年記念シングル「永遠のありがとう」。バックバンドのバンマスを務めるピアニスト・上杉洋史が作詞作曲を担当。作詞には岩崎自身も加わり、ファンや支えてくれた関係者への感謝を綴った曲だ。岩崎とファンが一体となったところで前半が終了。もうこの時点で個人的にはかなり満足したけれど、これでまだ半分なのだから恐れ入る。

親衛隊の “宏美ちゃん” コールにも注目


岩崎が薄黄色のドレスに着替えて登場した第2部は、往年のヒット曲中心の構成。“可能な限り多くの曲を歌いたい” という岩崎本人の希望で、MCを挟んでシングル曲のメドレーを2つも披露するサービスぶりだ。最初のメドレーは筒美京平縛りで9曲、2つ目は他の作曲家も交えて8曲、計17曲の豪華版。これがまた新旧取り交ぜてツボを押さえたラインナップになっていて、さすがはヒロリン、ファン心理をよくわかってらっしゃる!曲目はあえて伏せておくので、どの曲をどういう並びで歌うのかは、放送を観てのお楽しみということで。

なお、2つ目のメドレーのラスト2曲はシングルB面曲(いずれもファンにはおなじみの隠れた名曲)で、最後の曲はメドレーに入る前に岩崎がファンに “振り付け” を指導。ステージと客席が一体となったシーンも見どころの1つだ。このメドレーコーナーでは、親衛隊の “宏美ちゃん” コールにも注目。岩崎は客席に降り、親衛隊の真横で歌うシーンも。これも長年の声援に対する感謝の表れで、親衛隊メンバー(60代〜70代中心)の幸せそうな表情も印象的だ。

第2部の締めは、誰もが納得のバラードを2曲セレクト。こう書くと、普通の歌手ならどの曲かだいたい想像がつくけれど、岩崎宏美の場合は締めにふさわしい曲がありすぎるから悩ましい(笑)。1つヒントを出しておくと、ラス前の曲は、レコーディングの際に岩崎が感極まって涙声になってしまい、延期になったという逸話がある曲だ。

当時10代だった岩崎は60代になったが、聴いていて一瞬、10代の声とまったく同じに聴こえた部分があって、思わず鳥肌が立った。約半世紀前、曲に心を揺さぶられたときの感動を忘れずに歌うことは並大抵のことではない。50周年の重み、年輪を感じさせるシーンだ。

60周年、70周年に向けて歌い続けていく岩崎宏美


アンコールは2曲。この選曲が素晴らしく、“そう来るか!” とまたまた唸ってしまった。1曲目はオールドファンなら誰もが知る、岩崎が心から大切にしている曲。そして最後は、これからの歌手人生に対する決意を歌った曲。実は岩崎の持ち歌ではないが、オープニングで歌った曲と対を成しているという素晴らしい構成だ。家で全編を見終えて、思わず拍手してしまった。そんなことは滅多にないことで、追加公演がめちゃくちゃ観たくなったりして(笑)。

会場に行けなかった方は、ぜひ放送をご覧いただきたい。歌うことが大好きで半世紀、そして60周年、70周年に向けてこれからも歌い続けていく歌手・岩崎宏美の魅力がたっぷりつまったコンサートをどうぞご堪能あれ。



Information
岩崎宏美 デビュー50周年記念コンサート ~永遠のありがとう~

▶︎ 放送局:歌謡ポップスチャンネル
▶︎ 放送日時:2025年6月29日(日)20:00〜21:45

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2025.06.22
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カタリベ
1967年生まれ
チャッピー加藤
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