1971年 11月21日

演出は大隅正秋「ルパン三世 PART1」五ェ門登場の第5話はなぜ “神回” と呼ばれるのか?

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東京・渋谷のLOFT9Shibuyaで12月5日(金)に開催される体験型イベント『昭和アニソン大合唱 vol.1』の中に《みんなで観よう『ルパン三世』神回上映》という注目プログラムがある。これは、『ルパン三世』全シリーズのなかでもファンの間で傑作とされるPART1第5話「十三代五ェ門登場」を上映し、興奮を共有し、会場全体で語り合い、エンディングテーマを合唱するという趣旨だ。この記事では「十三代五ェ門登場」が “ルパン三世史” においてどんな位置づけにあるのか、なぜ “神回” と呼ばれるのかをあらためて整理しておきたい。

当初演出を務めていたのは大隅正秋


この『ルパン三世 PART1』は、モンキー・パンチによる原作コミックにイメージが近いとされている。山下毅雄が手掛けた、タバコの煙が充満した1970年代の地下のジャズクラブを連想させる激渋なサウンドに乗せ、オトナのためのクライムサスペンスが展開される。とりわけ、ごく初期の数エピソードはその色合いが濃厚だ。

1971年10月、日曜19時30分枠でスタートしたこのPART1は、当初は大隅正秋が演出を務めていた。しかし視聴率不振により早期にテコ入れ、路線変更が模索され、のちにスタジオジブリの中心人物となる高畑勲、宮﨑駿が “Aプロダクション演出グループ” として参加。大隅は番組序盤で降板してしまうことになる。

そう、この第5話「十三代五ェ門登場」は、PART1の中でわずか数本しかない、アニメ『ルパン三世』の原点である大隅演出時代の作品のひとつである。そして、タイトル通り石川五ェ門が初登場する、いわばシリーズの骨子が固まった作品であるのだ。

五ェ門、ルパン、不二子のキャラや関係性が違う


この回での石川五ェ門は盗賊ではなく、居合の達人であり “殺し” を請け負っているような設定になっている。強靭な刀を手に、何でも一刀両断で切り捨てるスゴ技をみせる。鋼鉄を切断し、次元大介が連射した銃弾さえ切って落とすのだ。

ルパンはある思惑から、そんな五ェ門に身分を偽って接触する。一方で、五ェ門はまだ見ぬルパン三世なる人物を抹殺するミッションを背負っている。ルパンと次元大介はコンビであり、銭形警部がそれを追っているという構造は第1話からのものだが、初登場時点で五ェ門はルパンらの仲間ではない。そこからいかにして、仲間となっていくのか? それともならないのか?

さらに、物語のなかで異彩を放つのが、峰不二子の立ち位置だ。不二子はのちのシリーズでも平気でルパンを裏切ることはあるが、この第5話ではとくにワルの度合いが高い。男たちの自尊心と欲望を都合よく刺激しながら、自らの野望のために、えげつないことをケロッとやってのける。シリーズ屈指の悪い峰不二子である。しかし、作画は魅力的である。“これぞ峰不二子" というビジュアルに惹きつけられる人は多いだろう。

ルパンのキャラクターも、のちのシリーズとは異なる、原作寄りのルパンだ。自分の欲望と好奇心とスリルのために動く犯罪者である。自らの哲学により “ここまではやるが、ここから先はやらない” という線引きをしているが、ここでは義賊ではないし、正義の味方でもない。一方で、山田康雄の吹き替えはごく初期からスタイルが完成していることに驚かされる。



“五ェ門が初めて出る回” という説明だけでは語り切れない内容


物語の舞台設定もこの回の特徴だ。基本的に『ルパン三世』シリーズの舞台はなんとなく日本ではあるが、基本的に無国籍である。さすがに2000年代以降の作品ではデジタル化された時代が舞台になっているが、それ以前は時代も明確には限定されない。だが、この第5話にははっきりと1970年代の日本のカルチャーが登場する。

ラジオから深夜放送が流れ、女性DJがトークを展開し、当時のヒット曲が流れる。日本式の高速道路に、日本車らしきクルマが流れる。当時流行っていた任侠映画のパロディ的要素もある。無国籍作品の随所に、“1971年前後の日本” が生々しく浮き彫りになる点は興味深い。 ほかにも、この第5話にはフックとなるポイントが多数ある。五ェ門と不二子の距離感が奇妙だし、和風の空間での次元の振る舞い方が面白い。ルパンと峰不二子のクルマは実在するヨーロッパ車を模して細部まで精密に描かれる… 。

このようにPART1第5話「十三代五ェ門登場」は、単に “五ェ門が初めて出る回” という説明だけでは語り切れない1本だ。見どころなどのチェックポイントを共有した上で、大きなプロジェクターを観ながら会場全体で鑑賞する。自宅でひとり、DVDや配信を観るのとは違い、知らない者同士が同じタイミングで笑い、ざわめき、固まる。その空気ごと含めて体験してもらうのが《みんなで観よう『ルパン三世』神回上映》の狙いだ。

そして、ラストは「♪足もとに からみつく赤い波をけって」で始まるエンディングテーマを、余韻に浸りながら歌いたい。


《公演概要》
昭和アニソン大合唱 vol.1


▶ 開催日時:12月5日(金)18:00 OPEN / 19:00 START
▶ 出演者:新井ひとみ(東京女子流)、コスプレ声ちゃん、DJ BLUE ほか
▶ チケット:ライブポケットにて前売券発売中
▶ 料金:前売 ¥4,980 / 当日 ¥6,000(税込み)*ワンドリンクオーダー要
▶ 会場:LOFT9 Shibuya(東京都渋谷区円山町1-5 KINOHAUS 1F)
▶ 主催:Re:minder club(昭和アニソン大合唱実行委員会)
▶映像提供:株式会社トムス・エンタテインメント

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