アイドルのトップランナーは今も走り続けている。田原俊彦の全国ツアー『TOSHIHIKO TAHARA DOUBLE ‘T’ TOUR 2025 Dance with KING of IDOL 踊るパワースポット!』が7月26日、埼玉・越谷サンシティホールで幕を開けた。ここでは “ネタバレ最小限” というスタンスのライブレポートをお届けする。
今も第一線のアイドル、田原俊彦はスペックダウンなし “今年は、どの曲かな?” ツアー初日の客席には、そんな期待と緊張が静かに漂っていた。 田原俊彦は、いつもライブのオープニングに “意外な1曲” を用意する── それは、ファンにとっての小さなスリルであり、トシちゃん流のつかみの演出である。 そして、田原俊彦にスポットライトがあたった瞬間、総立ちとなった満員の客席に披露されたのは、やはり “予想が難しい楽曲” だった。
2021年、東京国際フォーラムでの “還暦記念ライブ" から、早くも約4年が経過した。そう、現在の田原俊彦は64歳である。しかし、今回も年齢をまったく感じさせないキレのあるダンスと伸びやかなボーカルで、冒頭から客席の視線とハートを一気にさらっていった。 グリーン × ブラウンの迷彩柄にスパンコールが輝くセットアップに、黄色いネクタイと黄色いシューズ。これを着こなす64歳は他にいない。「皆さんこんにちは! → こんにちは!」「元気ですか〜 → 元気!」というファンとのやりとりで始まるMCでは、自虐ネタやブラックジョークも交えながら、客席を沸かせ、時にハラハラさせた。
今ツアーのセットリストは、田原俊彦の長いキャリアを映し出すように、ヒット曲と、今年6月にリリースされた「LIFE IS A CARNIVAL」など近年のシングルをバランスよく織り交ぜた構成になっていた。長期間活動しているミュージシャンには “新曲よりも昔の曲を聴きたい” というファンの本音がつきまとう。しかし、田原俊彦のファン── “ファミリー” たちは、毎年6月にリリースされるシングルを、1980年代と同じように心待ちにしている。 CDの購入に加え、それに伴うメディア露出やイベントの開催も楽しみにしている。そんなファンの存在こそが、田原俊彦が今も第一線のアイドルであることを証明している。
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この日の “拡散祭り" は「愛だけがあればいい」 また、数多くのヒット曲のなかには、ライブで必ず歌唱し、田原俊彦の現在が分かる楽曲がある。「チャールストンにはまだ早い」「抱きしめてTONIGHT」「ジャングルJungle」の3曲だ。曲調もダンスの傾向も異なるが、いずれも踊りこなすのがとりわけ難しい。さらに、“歌いながら踊る” という条件が、その難度に拍車をかけている。 毎年、1つずつ年齢を重ねるトシちゃんが、これらの曲をバッチリ決めるシーンを見届けることは、ファンにとって大きな喜びであり、誇りでもある。さて、上記3曲が、どこにどう配置されているのか?
そしてもうひとつ、楽しみな恒例の演出が “拡散祭り" だ。これはコンサート中、日替わりで1曲だけ、スマートフォンでの撮影とSNSへの投稿が許可されるという企画である。この日は、5曲目の「愛だけがあればいい」がその対象となった。客席のあちこちで、ファンが一斉にスマホを構える姿が見られ、いま “田原俊彦 拡散祭り” でググれば、さまざまな角度から撮影されたこの日の動画を観ることができる「ジャングルJungle」は7曲目、序盤のクライマックスとして配置された。今回も完璧だ。
中盤は、ブルーのダブルジャケットとワイドパンツの上下に着替えて再登場。続くシングルメドレーは8連発の豪華版。超定番曲に加え、ライブではめったに聴けない曲も含まれていた。バンドとダンサーチームのメンバー紹介に続き、ついに9曲目「チャールストンにはまだ早い」の出番だ。ジャズ調の洗練されたアレンジが施された人気曲であり、間奏のダンスはミュージカル風でもある。ここで流麗なステップを踏んだトシちゃんは、そのままシームレスに2コーラス目へ。そこも、ファンにとってはたまらなく誇らしい瞬間だ。
写真:西村彩子
予測は困難!感涙必至の演出アリ このツアーでは、終盤に不意を突くようなサプライズ演出が用意されている。14曲目、白い上下に黒いシースルーのジェンダーレスな衣装を重ねたスタイルのトシちゃんが、ステージ上部の階段に腰かけ、しっとりと歌い始める。イントロが流れた瞬間、客席が小さくどよめいた。初期から田原俊彦を追いかけてきたファンの胸を直撃し、涙なしでは聴けない選曲だ。さて、どんな曲だろうか? ちなみに、「贈る言葉」ではない。
シースルーの衣装を脱いだあと、「抱きしめてTONIGHT」は終盤の盛り上げソングとして16曲目に投入された。冒頭で足を高く上げ、ムーンウォークで円を描くように決めるなど、“これぞトシちゃんの真骨頂” といえる動きが次々に飛び出す。今回の足の高さも、この曲をリリースした27歳当時と違いがなかった。
そして19曲目、本編ラストを飾ったのは、田原俊彦というエンターテイナー自身をテーマにした「LIFE IS A CARNIVAL」である。この新曲には、遊び心のある特別な仕掛けがある。ファンからワードを公募した、いわゆる “コール” がオフィシャルで付いているのだ。
踊る門には福来たる
いいね!一緒にカーニバル
ハッピーメラメラ人生これから
トシが私のパワースポット
手加減無しのやり過ぎ王子
トシの笑顔が私の元気
昭和・平成駆け抜けて
令和もあなたに首ったけ!
リズムに合わせてコールする瞬間、ファンの想いの詰まった言葉と音楽が一体化する。80年代の「原宿キッス」などにもこうしたコールが取り入れられていたように、田原俊彦のライブではおなじみの文化だ。その一体感こそが、会場の熱気をさらに引き上げていた。
動きやすい軽装に着替えたアンコールでは、田原俊彦本人もお気に入りの明るくハッピーなナンバー「ラブ・シュプール」が選ばれた。主演映画『ウィーン物語 ジェミニ・YとS』のイメージも重なりファンにも思い入れが強い曲だ。舞台上を駆け巡り、客席にも飛び込む。半年後に年金受給者になるとは思えないほどの軽快さを見せ、会場の盛り上がりはマックスに達した。
誇り高きKING of IDOL 45周年の特別なツアーは昨年済ませている。今年は50周年へ向かう1年目。だからこそ目指したのは、田原俊彦のスタンダード、基本仕様、通常モードを最大限に魅せることだった。曲順について詳しく触れるのは避けるが、「哀愁でいと」を披露するのは当然として、「ハッとして!Good」「恋=Do!」「悲しみ2(TOO)ヤング」「原宿キッス」「ごめんよ涙」など、人気のシングル曲が惜しみなくラインナップされる。
デビュー以来、この越谷公演が何百回目のコンサートになるのだろうか。あるいは、すでに1,000回を超えているのかもしれない。ステージ上では、カーニバルのように派手に踊り、華麗に歌う。トークのコーナーではおどけてファンにエールを送る。それが田原俊彦の日常であり、人生そのものだ。64歳の今も、田原俊彦は変わらない。変わらぬままアップデートを続けている。ツアーは11月まで。以後、全国18箇所を回るスケジュールが組まれている。
そこで観られるのは、最新バージョン田原俊彦である。“踊るパワースポット” としてエネルギーを放出するKING of IDOLである。熱狂のカーニバルはまだまだ続いていきそうだ。
Information
TOSHIHIKO TAHARA DOUBLE ‘T’ TOUR 2025 Dance with KING of IDOL 踊るパワースポット! 写真:西村彩子 ▶ 8月2日(土)【長野】レザンホール(塩尻市文化会館)大ホール ▶ 8月11日(月・祝)【兵庫】あましんアルカイックホール ▶ 8月16日(土)【茨城】水戸市民会館 グロービスホール ▶ 8月24日(日)【宮城】仙台銀行ホール イズミティ21 大ホール ▶ 8月31日(日)【栃木】栃木県総合文化センター メインホール ▶ 9月6日(土)【静岡】富士市文化会館ロゼシアター 大ホール ▶ 9月15日(月・祝)【岩手】トーサイクラシックホール岩手 大ホール ▶ 9月20日(土)【北海道】カナモトホール(札幌市民ホール)大ホール ▶ 9月26日(金)【石川】本多の森 北電ホール ▶ 9月30日(火)【東京】東京国際フォーラム ホールA ▶ 10月4日(土)【山口】KDDI維新ホール メインホール ▶ 10月11日(土)【広島】呉信用金庫ホール(呉市文化ホール) ▶ 10月18日(土)【佐賀】佐賀市文化会館 大ホール ▶ 10月26日(日)【滋賀】滋賀県立文化劇場びわ湖ホール 大ホール ▶ 10月31日(金)【神奈川】茅ヶ崎市民文化会館 大ホール ▶ 11月3日(月・祝)【愛知】アイプラザ豊橋 ▶ 11月7日(金)【大分】iichiko総合文化センター グランシアタ ▶ 11月8日(土)【福岡】宗像ユリックス
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2025.08.01