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2025年【洋楽シーンの現在地】ロックは終わった?それは聴く意欲を失ったヤツらの宣言だ!

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2025年が終わりに近づいている。毎年この時期になると、1年があっという間だったと口にしてしまうが、年齢を重ねるほどその感覚は確実に増している。同世代の友人から、最近の音楽にはついていけないとか、若いアーティストに興味が湧かないと言われることも増えた。それが成熟の兆候なのか保守化の表れなのかは分からない。ただ、幸いなことに私はまだ、最新のポップミュージックに興奮し、心を震わせることができている。そんな私が今年の洋楽シーンを振り返り、5つのトピックに注目して語らせていただきたい。

ロックの土台を作った人々の訃報


今年もまた多くの偉大なアーティストがこの世を去った。

▶︎ オジー・オズボーン
▶︎ ブライアン・ウィルソン
▶︎ スライ・ストーン
▶︎ エース・フレーリー(キッス)
▶︎ スティーヴ・クロッパー
▶︎ クリス・レア

ロックの土台を作った人々が、静かにその人生に幕を下ろした。彼らの年齢を考えれば、それは “いつか訪れる日" ではあった。しかし、訃報が届いた瞬間は言葉を失ってしまう。私は1960〜1970年代の音楽をリアルタイムに聴いてきた世代ではないが、彼らが作り上げた音楽の豊かさの中で大人になっている。そう思うと、それは単なるスターの死ではなく、音楽文化の一部が失われた出来事として心に残っている。

さらに、ディアンジェロやマニ(ストーン・ローゼズ、プライマル・スクリーム)のように、活動のピークにあるはずの世代が逝ったことは悔やまれる。彼らの人生とキャリアは、まだまだ多く残されているはずなのだ。それでも、彼らの作品はこれからも世界中で鳴り響くことだろう。そして、彼らの偉業を語り継ぎ、その魅力を更新していかなければならないと感じている。



ポップミュージックの主役を務めた女性アーティストたち


2025年は、若い女性アーティストがポップミュージックの主役を務めた1年だった。「エスプレッソ」の大ヒットで知られるサブリナ・カーペンターを筆頭に、彼女たちは単なる人気者ではなく、時代の価値観を体現する存在になっている。サブリナ・カーペンターはセクシャルな題材を扱いながら、決して下品にならない。その絶妙な距離感と美意識は、彼女が単なる若い才能ではなく、秀でた表現者であることを証明している。軽やかに歌いながら、聴き手の心を掴んで離さない。

テイラー・スウィフトなどから賞賛を受けているシンガーソングライター、グレイシー・エイブラムスはより内省的だ。感情の揺らぎや脆さを肯定する歌唱は、​​Z世代の不安や自己肯定感の揺れと深く結びつき、確かな支持を集めた。完璧ではない自分を認める姿勢は、ポップミュージックに “生身の自分でいること” を呼び戻している。

そして、今年開催された第67回『グラミー賞』で最優秀新人賞を受賞したチャペル・ローンは、生き様そのものが作品の厚みを形作っている。厳格な田舎町を抜け出し、都会でレズビアンであるという自身のセクシュアリティを解放した経験が、楽曲の強度へと昇華している。ヒット曲「ピンク・ポニー・クラブ」がLGBTQ+のアンセムになったのは、単に社会的文脈を利用したのではなく、自身の経験から生み出されるリアリティがリスナーに届いたからだ。彼女たちは自分の言葉と音楽で新たな価値観を作り上げた表現者であるからこそ、大きな支持を集めているのだ。



今の時代にこそ力強く響くストレートなロック


ロックは終わった、という言葉を何度も聞いてきた。しかし、それは聴く意欲を失ったヤツらの宣言であって “ロックの終焉” ではない。サム・フェンダーのサードアルバム『ピープル・ウォッチング』は全英1位を獲得し、ロックが2025年にも王道になり得ることを証明した。
ブルース・スプリングスティーンの系譜を継ぐストレートなロックは、時代遅れどころか今の時代にこそ力強く響く。

また、ニューヨークの20歳の新鋭、ソンバーは、オルタナの影響を纏いながら、誰もが口ずさめるポップなメロディを歌っている。アメリカでもヒットを生み出したのは当然だ。彼らの作品はロックの詩情と力強さを同時に鳴らす瑞々しさが宿っている。最近のロックはどうもね… なんて思っている方にこそ聴いていただきたい若手有望株だ。



日本人が海外チャートに入っただけで騒ぐ時代は終わった


音楽のサブスクリプション・サービスによって、音楽の国境は本当に意味を失った。その状況で今年もK-POPアーティストは大活躍だった。ブルーノ・マーズとBLACKPINKのメインボーカル、ロゼがコラボレーションした「APT.」は、2025年の象徴的ヒットだ。癖になるフックからサビへの転調は、ただ印象的なだけでなく、聴き手の脳内に幸福感を刷り込む巧みな仕掛けになっている。

そして日本勢では、BABYMETALが最新アルバム『METAL FORTH』でビルボードの全米総合アルバムチャートで9位をマークした。何年にもわたり海外のフェスやツアーで積み上げてきた経験が、チャートアクションにも反映されたということだ。日本人がチャートに入っただけで騒ぐ時代は終わり、世界の中でどれほど戦えるかという新たな評価軸に時代が移行したと言えるだろう。



刺激に満ちていた2025年のポップミュージック・シーン


2025年最大の話題は、やはりオアシスの再結成だろう。世界中でチケット争奪戦が起こり、日本も例外ではなかった。幸運にも私は来日公演を体験することができた。そこには、同窓会的な緩さはまったくなく、むしろ過去を踏み台にして未来を掴みにいく野心的な演奏が鳴っていた。私はこれまで何度もオアシスを観てきたが、今回のライブは別格であり、現在最高のロックンロールをオアシスは体現していた。

さらにリンキン・パークが12年ぶりの来日を果たし、新体制の可能性を提示。新ボーカルのエミリー・アームストロングは、バンドの世界観を汚すことなく、新しい風を吹き込んでいる。彼らは過去を守るのではなく、未来を掴みにいく気概を見せつけてくれた。1990年代以降のロックシーンを牽引した英米のビッグネームが揃って復活し、来日公演で圧倒的な実力を示したことは2025年を象徴するトピックだった。

振り返れば、2025年のポップミュージック・シーンはとても刺激に満ちていた。レジェンド逝去と新世代の躍進。ロックの再生と、国境を越えたポップの躍動。そして、1990年代以降を牽引した巨人たちの鮮やかな復活。音楽は、まだ終わっていない。むしろ、まだ私を驚かせてくれる。2026年も、私は新しい音に出会い、心を躍らせることだろう。だって、ポップミュージックはこんなにも楽しいのだから!

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2025.12.29
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カタリベ
1972年生まれ
岡田ヒロシ
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