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伊藤蘭 インタビュー
第3回
キャンディーズのファンの方に
守られながら会場入りするとかも
ソロ歌手デビューしてから2年。セカンドアルバム発売、ライブツアーと続く伊藤蘭さんに「全キャン連」(全国キャンディーズ連盟)代表である、著述家の石黒謙吾氏が深堀りするインタビューは3回目に。前回のライブの緊張感、歌や振り付けの話、スクールメイツのことから、キャンディーズファンのこと、水谷豊さんや趣里さんとの話などに向かいます。
第1回はこちら→「キャンディーズが解散宣言した日比谷野音でソロ歌手・伊藤蘭として44年ぶりのステージに!」
第2回はこちら→「振り付けはキャンディーズ以前、中学生のスクールメイツ時代に基礎を学びました」
キャンディーズのファンがいつも実家の
前にいて話し込んだりしてました
- 石黒
- スクールメイツのメンバーから1973年にキャンディーズとなって、じわじわと人気上昇していき、1975年にはもうかなりの人気になったいたかと。その頃の熱狂的なファンのネタとして、3人の実家の前にファンが集まっていたことを若い人に話すと驚かれます。あ、僕も金沢からライブで上京すると行ってたわけですが(笑)。
- 蘭
- その光景を見ても、「あぁ、集まってるな」ぐらいの(笑)。それがごく普通、当たり前だったのでね。
- 石黒
- で、帰ってくる車が家に着く時に、近くの小路からぞろぞろと人が出てくる(笑)。
- 蘭
- そうそう、そしてみんなが「おかえりなさい!」とか言ってくれるので、家の中にいったん荷物置いてからまた玄関の前に出ていって5分ぐらい「今日の番組であそこがこうだったよね」なんて話して、「じゃあ、おやすみー」って(笑)。のどかな時代でしたねー。
- 石黒
- つきまとう人っていなかったんですよね?
- 蘭
- そうなんです、当時、いなかったですね!
- 石黒
- こちらもわきまえていたというか。申し訳ないって気持ちもあって。ってじゃあやらなければいいのですが、そこは耐えられなくて(笑)。
- 蘭
- また当時はみんなカラッとしてたから。特にキャンディーズのファンの方は紳士的で、ひどいことには全然ならなかったですね。しかもみんな親切で、3人のうちの誰かが駅の集合に遅れたりすると、みんなが囲んで「京都行きのホームはこっち」なんて言いながら(笑)。ファンの方に守られながら会場入りするみたいなのもありましたよ。
- 石黒
- 僕が解散後にご実家に行ったら、お母様が犬を抱いて玄関に出てきたので、驚きつつも何か言わなければアヤシイと思い「金沢から来たんです!」と言ったら、「まあ、遠くからご苦労さまです」と言われたという。そして、蘭さんが『平凡』で犬のジュリーを洗ってる写真見ていたので、「これがジュリーだ!」って感動(笑)。
- 蘭
- (笑)。昔から犬と猫は、ずーっといましたね。
- 石黒
- そして今、蘭さんのインスタに登場するのが、猫! ですね。インスタが更新されるのはファンの心の拠り所というか。
- 蘭
- いやー、マメじゃないんでねえー。すいません、更新が、なんかねぇ、ほんと。いつも、前回からもう1週間経っちゃったとか、あ、写真がない、とかいう感じで(笑)。
- 石黒
- 逆に、がっつりだと意識高い系感がするので、あれぐらいゆるいほうが(笑)。
- 蘭
- ホントですかー、ありがとうございます(笑)。
- 石黒
- それと、特にスペシャルな写真はなくても、猫のチュニ&げんたが。
- 蘭
- 活躍してくれるんでねぇ(笑)。チュニとげんた、ありがとう~。以前いた、クララが亡くなってしまったあと、昨年3月だったかな、チュニが我が家に。
- 石黒
- あ、クララという名前は、バレエの『くるみ割り人形』のクララだったりしますか?
- 蘭
- そうですそうです! 娘の趣里が子供の頃バレエでクララの役を踊らせて頂いて、とにかくその役が好きで趣里が名付けたんですよ。
豊さんに、洗濯機回しておいたから
あとで乾燥機に入れておいてね、って。
- 石黒
- 前回お聞きしてたんですが、げんた君は六角精児さんのところからいただいたとか?
- 蘭
- 趣里がもらってきていて飼ってたんですが、わたしは知らされてなくて、「ウソでしょ?」みたいになって(笑)。結局忙しくて面倒見きれない時期もあったりしてうちに来たんです。
- 石黒
- 犬だと散歩が大変ですもんね。芸能人の方は声かけられたりとかして。
- 蘭
- 犬を飼ってた時期もあったんですけどね。趣里が小さい時に、チワワを。でも普通に散歩に行ってましたよ。わたしそういうふうに声かけられたことないんですよ。
- 石黒
- えっ! それは驚きです。気配を消してるんですか?
- 蘭
- 普通にしてますが、気づかれない自信はあります。わたし、ちっちゃいから(笑)。
- 石黒
- 猫以外でインスタでお見かけするものでは、ナンタケットバスケットの手作りがありますね。あれを始められたきっかけは?
- 蘭
- 友だちが持っていてとても素敵で、手作りを習い始めたから蘭さんも行きません? ってなり教室覗いてみたら、作りたい気分になったので、じゃあやってみようと。
- 石黒
- あれ、作るの大変そう…… っていうか時間かかりますよね?
- 蘭
- 時間はかかりますけど、わたし、1回その世界に入ると抜け出せないというか、ずーーっとやっていられるんですよねえ。
- 石黒
- 全然そう見えないですねー!
- 蘭
- すぐ飽きそうでしょ? すぐ放り出しそうでしょ?
- 石黒
- はい…… いや、というか次々とやりたがる感じと言いますか…… すいません(笑)。
- 蘭
- ははは! けっこうねえ、その世界にずーっと入っていたいタイプなんです。できれば朝まででもやめたくない、という。何センチまでやったらとかキリを決めないと完成するまで作っちゃうんじゃないかなって(笑)。だから、歌詞を書くときも入り込むとずっとやっていたくなるんですよね。
- 石黒
- バスケットに加えて刺繍もやられてますよね。あれよかったですね~!
- 蘭
- あ、刺繍ねえ~! 良かったですか!?
- 石黒
- バスケットよりわかりやすいっていうか、ぱっと絵柄を見てわかるので、へえーって。
- 蘭
- 今ちょっと間隔が空いちゃってるんですよね~。
- 石黒
- 歌手に女優とかなりお忙しい中で、家事もあるわけですが、ダンナさまは手伝ってくれたりなんてあったりします?
- 蘭
- 洗濯機回しておいたから、あとで乾燥機に入れておいてね、とかそういうのは普通にありますよ(笑)。
- 石黒
- ええっ! 普通ですねー! 水谷さんはやるイメージがありますが、蘭さんからリアルにお聞きすると、おおー、乾燥機に入れてんのか!? って(笑)。
- 蘭
- ははは、そうですそうです。食器洗い機に入れてくれたり。歌のことなど仕事の時はどうしても家庭のことはおろそかになってしまいますが、そのへんは本当に理解してもらってますね。
趣里がキャンディーズ時代のビデオを
観ていてわたしが遠くからそれを見て…
- 石黒
- 趣里さんとは女優同士ということで演劇論とか話されたりはしますか?
- 蘭
- うーん、演劇論まで大げさではないですけど、お互いに今こんなことやっていて 稽古でこうだったとかそういう話はよーくします。
- 石黒
- 最初の頃はアドバイスとかされたんですか?
- 蘭
- ほとんどしたことないんですよね。
- 石黒
- ご自分で工夫して覚えていったわけですね。
- 蘭
- 幼い頃からわたしたちを間近で見ていましたから、自然に興味は持っただろうし、また、大変なこともあるだろうってわかってもいたはずで。だから、この道を選んだってことは。趣里にとって特別なことじゃなかったのかもしれませんね。幼い頃からバレエでステージに立っていたし、演ずるってことは身近なことだったのかなって。
- 石黒
- 舞台は観に来られますか?
- 蘭
- 1つの舞台でそのお芝居がいいと思うと、昔は5回、6回と観に来た事もありました。
- 石黒
- 最近のライブ会場にもいらしてるんですよね?
- 蘭
- ライブはもう大好きで、「ほんとに楽しかったー」って言って喜んでくれます。家族が。
- 石黒
- 家族が(笑)。会場にいるとなんとなく“いらしてる” ってわかるんです。静かにざわざわっと客席の視線が動いたりして(笑)。
- 蘭
- あ、ざわざわっと(笑)。
- 石黒
- そのあたりが家族愛でいいなぁって思います。同業のご家族でもそんな方ばかりじゃないんじゃないかなぁとか思ったりして。
- 蘭
- 2人に対しては逆にわたしが観たくてお客さんになるわけですし、家族として大事な一場面だと思うので。3人とも、お互いを気にかけてるというか。今は一緒に行ったりはできない状況なので主人とはバラバラですけど、趣里の公演は必ず行きますね。
- 石黒
- 趣里さんからすると、ソロデビューしてからの歌ってる姿は、今までは映像でしか 知らなかったので新鮮だったでしょうね?
- 蘭
- そうだと思います。ファーストアルバムも大好きのようで、たまに電話で話してたら「いま『My Bouquet』聴いてる」「ほんとすき」なんて言ってくれるんで、ありがたいです。
- 石黒
- キャンディーズ時代の曲はお子さんの頃聴いてたりしてたんですか?
- 蘭
- ビデオは見てました。たぶん解散コンサートかと。それをわたしが遠くから離れて見てたりとか(笑)。ほとんどのキャンディーズの曲は大好きみたいで。
- 石黒
- そういえば、まだ趣里さんが芸能活動するずっと前に、水谷豊さんがバラエティ番組に出られてて、ご自分で家の中でビデオ撮ってきたのが流れてたんですが、そこに趣里さんの声だけ入っていて、あまりにも蘭さんに似ていて、間違えたの覚えてます!
- 蘭
- あー、なんかありましたね。それ、中学生ぐらいだったのかなあ。よく声が似てるって言われますね。
一番最初のライブに小松政夫さんが
いらしてて一緒に写真を撮りました
- 石黒
- 2012年に映画『少年H』で、水谷豊さんと共演されましたね。僕はその時にも『クロワッサン』でお2人に取材させていただきド緊張しました(笑)。で、趣里さんが着々と女優として足場を固めて盤石になってきたところで、こうなったら3人で共演という可能性もありえなくもないのかなとか!?
- 蘭
- いやいやー、それはどうなんでしょうねえー。
- 石黒
- 見てみたい気はしますけどね、ファンの妄想的には。でもそうなったらこちらは不思議な感じがするでしょうけど。蘭さんご家族としては共演したら照れちゃうでしょうね?
- 蘭
- いやー、でも意外に割り切ってできると思います。『少年H』の時もそうだったので。現場行くと普通に共演者にスッとなりきれるので。
- 石黒
- そうなんですか!?
- 蘭
- はい、自然でしたね。だから、わりと大丈夫じゃないかなって。
- 石黒
- 水谷豊さんといえば、僕が会場で仲良くなったお母さんと娘さんが、水谷さんのファンから蘭さんのライブにハマったと! またいつもいい席押さえてるんですよ。僕は最初のライブから遠くから見掛けていて、タダモノじゃないなって(笑)。
- 蘭
- 目を付けていた……(笑)。
- 石黒
- ペンライトの振り方が今風で違ってましたからね。
- 蘭
- え、振り方が? それってどう違うんですか?
- 石黒
- 普通にタテとかヨコに振るんじゃなくて、タターンってリズムで押し出す感じで。
- 蘭
- こうですか?
- 石黒
- そうです、そんな感じです(笑)。とか、まぁファン仲間の連帯は楽しいですね。
- 蘭
- 幅広い層の方に来ていただけて嬉しいです。昔からステージを味わって体感してきた方、当時は子供過ぎて来られなかった方、お兄さんに置いていかれたとか(笑)。
- 石黒
- あ、まさにそのあと少しで行けた世代の方、すごく多いってわかります!
- 蘭
- そうみたいですね。
- 石黒
- ママ友の方なんかは?
- 蘭
- そうなんです。必ず来てくれますね。舞台ソデから客席を通っていくときとか見えると、あ、来てる来てるってニヤニヤしちゃいますね。
- 石黒
- 芸能関係の方も会場でよくいろんな方をお見かけしますね。一番最初の時、亡くなられた小松政夫さんがいらしてて、『みごろ!たべごろ!笑いごろ!』のやりとり知っている身としては現場でお見かけして感無量というか……。
- 蘭
- そうそう、その時終演後に小松さんにお会いできて、一緒に写真を撮っていただいて、その写真は大事に取っておこうって……。白いスーツでおしゃれしていらしていただいて、嬉しくて。あれは、小松さんがたぶんご自分でチケット取られて来てくださったと思うんですよね。
(インタビュー・文章:石黒謙吾)
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