9月25日

山口百恵「蒼い時」大人すぎる21歳が初体験を語った赤裸々な自叙伝!

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山口百恵著「蒼い時」と熱狂的百恵ファンだった小学生の出会い


ひどいニュースばかりの今日このごろ。一年を振り返ると思わず眉間にシワが寄ってしまうほどだ。年末年始くらいは平穏無事に過ごせるよう祈るばかり。

年末といえば『NHK紅白歌合戦』。子どものころは画面にかじりついて、お目当ての歌手が出てくるのを今か今かと待っていたものだ。

山口百恵は、そんな私が楽しみにしていた歌手の1人。私は小学校のころ “百恵狂” と言われても仕方ないような、熱狂的なファンだった。そんな彼女が三浦友和との結婚と引退を発表したときはショックで激しく怒り狂った。友和との結婚をやめてくれないだろうかと本気で願っていたほどだ。

親は「やれやれ…」といった表情で「友和を恨んだってしょうがないっしょ」と言いつつ、引退記念の雑誌やらレコードやらなんだかんだ買い与えてくれた(サンクス)。そのうちの1つが『蒼い時』という書籍だった。彼女の筆による自叙伝である。母が最初に “検閲” して、私に手渡すとき少し困った顔をしていたのを覚えている。当時私は小学6年生。お赤飯を炊いてもらうまではまだ時間があった。

小6にはわからなかった「蒼い時」に記された赤裸々な内容


読後の感想だが、実を言うと母がなぜ困った顔をしていたのかさっぱりわからなかった。むしろ、書いてある内容がよくわからなかった、という方が正しいだろうか。

時は流れ、私も大学生になり、夏休みか冬休みかに帰省した際、『蒼い時』を手に取ってみた。そして読み返し「うおおおお、これか!オカンが困った顔をしてたのは!」と、そのときやっと気づいた。

ここには彼女の出生や恋愛など、かなりデリケートなことが書かれていて、中でもたった6行の短い文章で初体験についてサラッと触れられていたのだ。しかも「女になった」という婉曲表現で。

わかんねえよ! 小6にはわかんねえよ! それとも、私がオクテすぎたの?

では、中年になった私はどう感じるだろう? となんとなく気になって、今回改めて『蒼い時』を読み直すことにした。

「蒼い時」で読み解く、21歳の山口百恵と日本の芸能界


自身の複雑な生い立ちや、日本の芸能界のドロドロした部分、そして少女から女性への過渡期ならではの悩みや苦しみなど、これを書くのにはずいぶん勇気が要ったことだろう。

「それにしても21歳なのにずいぶん大人だよなー」というのが全体的な感想だ。私が21のときは飲み食いしてゴロゴロしていた記憶しかない。今では年を食っただけの耳年増になってしまった自分をただ恥じるのみ。

この本は残間里江子さんのプロデュースで、多少は彼女の色もついていたのだろう。それでも山口百恵という人は、もう人生を100回くらい生きているかのごとく、達観しているように思えた。

それが顕著に表れていたのは、桜田淳子に関する記述である。2人は中学校の同級生でとても仲がよかったが、まわりがライバル視するようになり次第に疎遠になっていった、というようなことが書かれていた。そして、「何に対しても素直で真剣」な淳子ちゃんを心配して「自分を追い詰めないで」と、1行で。

世間を騒がせた “あの” 結婚式は1992年のこと。『蒼い時』が発行された12年後に何が起こるか予見しているとしか思えない1行だった。

百恵ちゃん、恐ろしい子…!

他にもいろいろと濃ゆい内容の本なので、昭和の芸能界を記録した歴史資料として、関心のある方にはぜひ読んでいただきたいと思う。

山口百恵最後の紅白で歌った「しなやかに歌って」


山口百恵が最後に出演した紅白は1979年で、その曲目は「しなやかに歌って-80年代に向って-」。やけにすっきりした白い衣装と表情が印象的な曲だった。

その年の10月に友和との交際を宣言し、年が明けて3月に婚約・引退を発表したとなると、紅白のころにはもういろいろと覚悟もスケジュールも決まっていただろう。

70年代を駆け抜けた山口百恵は、すっきりさっぱり、しなやかに80年代に向かっていったのだ。

私の場合すっきりというわけにはいかず、80年代を迎えるとともに今でいう “厨二病” を発症し、中年になった今も克服できないでいる。こんな私が21歳の百恵ちゃんに追いつけるときは、いつか来るのだろうか? とりあえず今から針と糸を…… そう! キルトを始めるんです!





※2020年12月29日に掲載された記事をアップデート

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2022.09.25
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カタリベ
1968年生まれ
モコーツカ
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