続く2ndシングル「時へのロマン」(Only Time Will Tell 全米17位)がまた “ド” が付くほどの名ポップロックで、僕のエイジア好きは不動のものになった。しかし “ツウな” ロックファンの前では僕も「恥ずかしながらエイジアが好きです」と前置きを付けざるを得なかった。それですら少々勇気が要る発言であった。しかし、決して好きでないとは言えなかった。そこまで自分の気持ちに抗うことは出来なかったのである。
日本ではこちらの方が大ヒットした2ndアルバム『アルファ』にも、「ドント・クライ」「偽りの微笑み」(The Smile Has Left Your Eyes)といった秀でたポップロックが詰まっている。エイジアの名曲を作ったのがジョン・ウェットンとジェフリー・ダウンズのコンビだった。ウェットンはエイジア以前にも優れたポップセンスを持つソングライターだったのである。そしてウェットンのやはり唯一無二の、ふくよかな美声がエイジアのポップロックを彩ったことに異を唱える人は誰もいまい。ウェットン無くして、エイジアは無かったのだ。