5月

追悼:ユーロビート番長「デッド・オア・アライヴ」名前通りの波乱人生?

40
2
 
 この日何の日? 
デッド・オア・アライヴのセカンドアルバム「ユースクエイク」が全英でリリースされた月
この時あなたは
0歳
無料登録/ログインすると、この時あなたが何歳だったかを表示させる機能がお使いいただけます
▶ アーティスト一覧

 
 1985年のコラム 
エピックソニーが牽引した映像の時代、ビデコンとはビデオコンサートの略

スーパースターの孤独、フレディ・マーキュリーとマイケル・ジャクソン

長髪のフレディを知らない子どもたち… の迷いごと ~ クイーンに捧ぐ

新宿ディスコシーンの栄枯盛衰と「デッド・オア・アライヴ」のシークレットライブ

飛ぶ鳥を落とす勢い!中森明菜「赤い鳥逃げた」12インチンシングルでも初の1位!

1982年の中森明菜、デビューは “スローモーション” でもブレイクは早かった!

もっとみる≫



photo:South China Morning Post  

ディスコを中心に日本を席巻したユーロビート。なかでもストック・エイトキン・ウォーターマンというUKの3人組プロデュースチームが次々とヒットを量産していました。カイリー・ミノーグやリック・アストリー、バナナラマといったアイドルやポップスターが彼らのプロデュースによりビッグになっていきます。そんなストック・エイトキン・ウォーターマンがプロデュースしたアーティストのなかに、ちょっと異色の存在が。それがここに紹介するデッド・オア・アライヴです。

ルックスはモデル顔負け美貌のトランスジェンダー(っていう言葉は当時無かったですが)なんですが、顔と体がでかく、声もやたらと野太いという超アンバランス(ギャップというやつですか…)なところが魅力のピート・バーンズを中心としたバンド、デッド・オア・アライヴ。何が異色かというと、その際だった存在感もそうなのですが、そもそものバンドの出自が私の気になるところでした。

UKニューウェイヴのバンドが好きだった私は、デビュー当時はU2のライバルとまで言われたエコー&ザ・バニーメン、ジュリアン・コープが在籍していたティアドロップ・エクプローズや、日本ではほぼ無名でしたがマイティ・ワーというグループなどのリバプール出身のアーティストに注目していました(リバプール・ネオ・サイケなんて言葉もあった)。そして、実はピート・バーンズもそのシーンの中心にいた人物なのです。

ちょっとややこしいんですが、エコー&ザ・バニーメンのイアン・マッカロクとジュリアン・コープ、マイティ・ワーのピート・ワイリーが組んでいたバンドからイアンが抜け、残りの二人とピート・バーンズが新しくバンドを組んでいたということです。

ピート・バーンズはその後デッド・オア・アライヴを結成、当初はゴシックサイケともいえるダークなニューウェイヴサウンドでしたが、メジャーデビューの頃には完全なダンスサウンドに変貌、メジャー2作目「ユースクエイク」でストック・エイトキン・ウォーターマン・サウンドとなり、そこで現在に至るまでのデッド・オア・アライヴが完成するのです。

当時、ダンスミュージックにはちと疎かった私も「ユースクエイク」のカッコ良さにはやられました。スピード感のあるハイパーなビートにあの野太い声がメロディアスに乗っかり、何となく上から目線のピートに諭されるような「ユー・スピン・ミー・ラウンド」のPVも超かっこよかった。なんとなくチャラいイメージだったストック・エイトキン・ウォーターマン(とその仲間たち)ですが、このアルバムを機にちょっと見直しましたね。

デッド・オア・アライヴは、その後もユーロビート番長としてヒットを出し、特に日本では90年代のジュリアナ隆盛にも一役買っておりました。整形手術を重ね、今ではかなり顔が変わってしまいましたが、「ユースクエイク」の頃は本当にカッコよく、また美しかった。ということで、名曲「ユー・スピン・ミーラウンド」とゴス時代の貴重な「I'm Falling」(映像なし)をお楽しみください。


編集注:
このコラムは、ピート・バーンズが亡くなる以前に書かれたものです。故人の冥福を心よりお祈り申し上げますします。合掌。Rest in Peace.

2016.10.29
40
  YouTube / DeadOrAliveVEVO 


  YouTube / The Unofficial Dead or Alive Youtube Channel
 

Information
あなた
Re:mindボタンをクリックするとあなたのボイス(コメント)がサイト内でシェアされマイ年表に保存されます。
カタリベ
1968年生まれ
DR.ENO
コラムリスト≫
20
1
9
8
7
初代ヴォーカリストは宮城宗典、80年代を駆け抜けたヒルビリー・バップスの軌跡
カタリベ / 本田 隆
30
1
9
8
5
颯爽と舞い降りたブルーアイドソウルの貴公子、スクリッティ・ポリッティ
カタリベ / KZM-X
58
1
9
8
8
パティ・スミスの「People Have the Power」音楽が政治的で何が悪い
カタリベ / 浅井 克俊
87
1
9
8
4
松見坂のラブホ “1983” と ブラック・コンテンポラリーの使用マニュアル
カタリベ / 中川 肇
13
1
9
8
0
YMO「増殖」の衝撃と笑劇 ― コミックソングが J-POP を作った
カタリベ / 後藤 護
30
1
9
8
6
好き好き大好き、戸川純の歌声と情念に教室が凍りついた日
カタリベ / 鎌倉屋 武士