5月11日

ロニー田中は見た!伝説が生まれる瞬間、新宿ロフトの暴威(BOØWY)初ライブ

419
8
 
 この日何の日? 
BOØWYのデビューライブ「暴威 LOFT FIRST LIVE」が新宿ロフトで行われた日
この時あなたは
0歳
無料登録/ログインすると、この時あなたが何歳だったかを表示させる機能がお使いいただけます
▶ アーティスト一覧

 
 1981年のコラム 
アメリカンロックのアウトロー、トム・ペティは「なんかいい」のだ

必殺シリーズの音楽は平尾昌晃と竜崎孝路、そしてトランペッター数原晋

伝説のゲリラライブを体験、原宿にサザンが響いた日

マニア心をくすぐるエピソード♪ 地味渋バンド、スクィーズは英国の誇り

80年代のスクーターブームと世界的大ヒット「ベティ・デイビスの瞳」の関係

土曜の夜は「オレたちひょうきん族」桑田佳祐や大瀧詠一も手掛けた音楽の数々

もっとみる≫




レディースの先輩からのメッセージ「5/11 ロフト 19時」


いわゆる “伝説” が生まれる瞬間に遭遇したことがある。

最初から鳴り物入りのトリッキーなタイプや、後に評価されるが初期は日の目を見なかったパターンなど色々ある中、今回の話は、たまたまそこに居合わせたことが希少な価値を持つパターンである。

私の通っていた都立高校は “自主性を重んじる” 校風のもと、私服で授業も選択制だった。これは学校を終え、ライブや映画に行くのに非常に好都合だった。当時、私の通学私服は基本古着とデザイナーズブランド。これが他校のいわゆる不良の目に留まり呼び出しを受けた。

「あの南京錠付けてる女、駅で化粧して網タイツで帰って行くから裏番に違いない」

裏番というのは “裏の番長” の意味だ。レディース暴走族のリーダーが街中のメンバーを80人くらい引き連れ私を取り囲む。

私は「裏番なんかじゃない! 私はライブや映画に行きまくってるだけ」と主張すると、「お前、イカれてるけど悪い奴じゃなさそうだ」とリーダー格で高校中退スナック勤務の暴走族の隊長に名前や住所、電話番号を聞かれ、無事解放された。そして、敬意を込めて “先輩” と呼ばせて貰う許可も貰った。

ホッとしたのも束の間。ある日帰宅すると固定電話の脇にメモがあった。

「5/11 ロフト 19時」

母親に尋ねると、先輩からのライブの誘いだと判明。先輩の連絡先は知らないし、何より断ったら後が怖い。それにしても、先輩と新宿ロフトが全く結びつかない。前回の呼び出しの時に先輩は「洋楽は英語分からないし歌謡曲しか聴かない」と言っていたのに一体何なんだ?

新宿ロフトで “暴威” のライブ、ミッションは盛り上げ役


一週間悩み、行かなかったら後が怖いから私は新宿ロフトに向かった。遅刻しないよう早めに着いて本日のライブの告知を見ると “暴威” と書いてある。

もうこの漢字の組み合わせからして嫌な緊張が走る。暴力の “暴” に威力の “威” だ。

程なくして、くわえタバコでリーゼント風の頭にハチマキみたいにショールを巻いた先輩と荷物持ちの先輩の仲間登場。挨拶して恐る恐る尋ねると――

「群馬の仲間がデビューするんだよ。盛り上げ役はお前な! 恥かかせんなよ!」

今夜の私のミッションは、盛り上げ役。

慣れ親しんでる新宿ロフトはガラガラの客入り。Wikipediaによると、「13人(男9人 女4人)の客」とある。この女4人の内3人は私と先輩とその連れである。

解散後も語り継がれる伝説の存在、6人の暴威はBOØWYに!


1981年5月11日―― 暴威のデビューライブは始まった。

狭いステージにメンバーが6人出て来た。ギターの人大きい! が第一印象。“暴威” から連想した不良感は殆どなくニューウェーブな感じ。サックスが要所で入り、盛り上げ役の私は、一曲も知らないが最初から最後まで拍手したり踊りまくっていた。

ヴォーカルの人は「曲がまだ無いから」と同じ曲を2回演奏した。「NO.NEW YORK」というキャッチーな曲で、その2回目にはサビで「ニューヨーク! ニューヨーク!」って一緒に歌い、盛り上げ役任務を遂行できた。振り向くと先輩は上機嫌でニコニコしていた。眉毛の無い、いつもしかめっ面の先輩が綺麗に見えた。

40分くらいでライブが終わり先輩に挨拶し、「キャッチーな曲と見た目のポップさで、きっと大人気になりますよ」と言ったら、「そうかい、ありがとよ」と自分のことのように照れていた。

その後、先輩から連絡は無く、6人の暴威は変遷してBOØWYになり、あの日観客で来ていた高橋氏がドラムに参加、武道館をライブハウスにし、解散後もその存在は伝説として語り継がれている。


※2018年4月11日、2018年10月07日、2021年5月11日に掲載された記事をアップデート

▶ BOØWYのコラム一覧はこちら!



2022.05.11
419
  Songlink
 

Information
あなた
Re:mindボタンをクリックするとあなたのボイス(コメント)がサイト内でシェアされマイ年表に保存されます。


おすすめのボイス≫
1963年生まれ
はるノ介
その9ヶ月後、受験の為福岡から上京した私はホテルにチェックインもそこそこに「ぴあ」を買いライブハウスをチェック。「爆裂都市」完成記念ギグ!なるモノを見つけ憧れの新宿ロフトへ昼間に下見に出かけた。なにやらやたらと背の高いウエイターがコーヒーを持って来た、ブレイク寸前だったのかなぁ?まだバイトしてたのね。
2021/02/02 11:28
0
返信
1963年生まれ
ワタナベース
そうそうロフトによく出てましたね。「Player」のニューカマーで知りましたが、見た目が怖くていけませんでした^_^
2018/04/12 11:32
3
返信
カタリベ
ロニー田中
コラムリスト≫
15
2
0
2
2
広石武彦に訊くUP-BEAT ③ 僕の歌詞は基本「負け犬」。負けてるヤツが “それでも” って…
カタリベ / 本田 隆
51
1
9
8
5
ブレイク直前のBOØWY!ニューウェイブとヤンキーカルチャーが奇跡の融合
カタリベ / 本田 隆
77
1
9
8
8
ニッポンのロックバンドここにあり! BOØWY から ZIGGY へ受け継がれたもの
カタリベ / 本田 隆
30
1
9
8
5
第2期 BOØWY:ついにブレイク!実を結んだライブバンドとしての実直な活動
カタリベ / 本田 隆
23
1
9
8
6
憧れの武道館デビューはトンプソン・ツインズと土屋昌巳のロックンロール!
カタリベ / ソウマ マナブ
51
1
9
8
5
時代を変えた孤高の名盤「BOØWY」ニューウェーブと “日本のロック” の奇跡的共存
カタリベ / TOMC (トムシー)