6月29日

いまこそ語ろう、音楽としてのチェッカーズ♪ ソングライター鶴久政治の魅力

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photo:PONY CANYON  

チェッカーズは、2018年にデビュー35周年を迎えています。チェッカーズと言えば、お揃いのチェック柄のファッションに身を包んだ初期のイメージが、どうしても強くなりますが、1983年のデビューから、92年の紅白歌合戦での解散まで、チャート的には浮き沈みのない、とても息の長いバンドでした。

その背景には、初期チェッカーズの爆発的人気を支えた、売れっ子ソングライターチーム=売野雅勇・芹澤廣明コンビの手を離れ、86年の「NANA」から始まった、メンバー自作シングル群の音楽的クオリティが、安定的に高かったことがあると思います。

その中でも、個人的に、とりわけサビのメロディが、頭にしっかりとこびり付いている曲を挙げてみると――

「WANDERER」
(87年7年8日)

「Jim&Janeの伝説」
(88年6月29日)

「Room」
(89年3月21日)

「Cherie」
(89年7月5日)

「Friends and Dream」
(89年12月6日)

「夜明けのブレス」
(90年6月21日)

「ミセス マーメイド」
(91年9月4日)

これらの曲には、実はある共通項があります。それは、作曲が鶴久政治だということ。

チェッカーズの中後期シングルは、他にも大土井裕二(ベース)、藤井尚之(サックス)、武内享(ギター)が作曲を担当しているのですが、その中でも鶴久政治の手による楽曲は、サビが異様にキャッチーという特徴があります。

今回は、それらの中でも、私が大好きな「Jim&Jane の伝説」と「Room」と「Cherie」のサビについて、音楽的解析をしてみたいと思います。

まず「Room」。それは、青い波形で示した、上がって下がっての音列の繰り返しがポイント。これを3回も繰り返すことによって、麻酔的効果が生まれ、長期記憶に残っています。



次に、「Jim&Jane の伝説」。これは記事「80年代という時代の響き、9th(ナインス)の魔術師 玉置浩二」でも注目した音=「9th」の音の活用に尽きます。赤でくくった、ひっかかりのある音がその「9th」です。



最後に、私がチェッカーズの楽曲の中で最も好きな曲=「Cherie」。このサビはもう大傑作で、赤で跳ね上がる跳躍と、その跳躍を含んだ青の波形の繰り返しに対して、ベースが「ド→シ→シ♭→ラ」と、緑の線のように、半音ずつ下降していく(=クリシェ)という対比の、造形的な美しさはどうでしょう。



全体的に、技術的に高度というわけではありません。ただ、とても原始的な音楽的快感が含まれていると思うのです。そのことを裏打ちするのが、当時の鶴久政治氏のこの発言です。

「音楽が仕事になると音には敏感になるけど、それって普通の人の音楽に対する純粋さと違うんですよね。なんで、ギター一本でもしっかりしたメロディをいつも心掛けていますね。新しい方面はフミヤ氏やトオルクンに任せて」(雑誌『PATi PATi』91年7月号)


※2018年3月3日に掲載された記事をアップデート

2019.03.31
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