11月30日

音楽から総合エンタメに変化、マイケルの「スリラー」は時代の大きな転換点

70
1
 
 この日何の日? 
マイケル・ジャクソンのアルバム「スリラー」がリリースされた日
この時あなたは
0歳
無料登録/ログインすると、この時あなたが何歳だったかを表示させる機能がお使いいただけます
▶ アーティスト一覧

 
 1982年のコラム 
マドンナ以前の女性ソロ、あくまで美人のローラ・ブラニガン

80年代の七不思議!なぜか不発に終わったグレン・ヒューズのプロジェクト

等身大のメッセージソングに開眼した松本伊代「抱きしめたい」

マイケルの「スリラー」に味方した偶然のような必然 ー MTV篇

原宿の「ビリー・ジーン」とマイケル・ジャクソンが「スリラー」でやりたかったこと

ロニー田中は見た!エディ・ヴァン・ヘイレンがカバーしたハトヤホテルのテーマ♪

もっとみる≫



photo:Michael Jackson  

ポップミュージックの転換点、マイケル・ジャクソン「スリラー」リリース


日本で最も有名な経営コンサルタントである大前研一は、ビル・ゲイツが表舞台に登場した1985年が時代の変わり目だったとして、85年以後を “AG” After Gates=ゲイツ後、それ以前を “BG” Before Gates=ゲイツ前と呼んでいる。

では、ポップミュージックの世界において、このような “新しい時代へ向けての大きな変化の出発点” を特定するとしたら、いったいどの年になるだろうか?

僕は、マイケル・ジャクソンの『スリラー』がリリースされた1982年こそが “それ” に当たると思う。上の例に倣うと、82年以降が “AT” After Thriller=スリラー後、それ以前が “BT” Before Thriller=スリラー前という訳だ。

もちろん、エルヴィス・プレスリーやザ・ビートルズの登場も大きな出来事だったに違いない。でも、『スリラー』がポップスを “音楽の一つ” から “総合エンターテインメント” に変化させた点で、この年が大きな転換点だったと言っていいのではないだろうか。

ギネスにも認定、シングルカットの7曲がTOP10入り!


このように多大な影響を及ぼした『スリラー』だが、実を言うと、僕はこのアルバムをちゃんと聴いたことは殆どなかった。前作『オフ・ザ・ウォール』をクルマの中に常備していたのと比べると、大きな違いである。

言うまでもなく、『スリラー』はギネスに “Best-selling Album” と認定されていて、収録された9曲のうちシングルカットされた7曲全てがTOP10入りしている、まさにモンスターアルバムだ。それだけに「売れすぎて、かえって恥ずかしい」という感覚があったのかもしれない。

とは言え、先行シングル「ガール・イズ・マイン」がリリースされた時点では、僕に「恥ずかしい」という感覚は全くなく、むしろ『オフ・ザ・ウォール』のサウンドを引き継いだ、とても洗練された作品だと感じていた。

時代はまだアナログ、デジタルに移行する “過渡期” だった


だが、サードシングル「今夜はビート・イット(Beat It)」あたりで様子が変わってきた。今この曲を思い出そうとしても、真っ先に脳裏に浮かぶのはエドワード・ヴァン・ヘイレンのギターソロと、この曲のパロディであるアル・ヤンコビック「今夜もEAT IT(Eat It)」のビデオクリップである。

極めつけは7枚目のシングル「スリラー」だ。この時代を生きた人間の中に、この曲のショートムービーとゾンビダンスを思い出せない人はいないのではないかと思う。何しろ、『オレたちひょうきん族』でもネタにされていたほどなのだ。こうしてアルバム『スリラー』は、徐々に純粋な音楽として評価される対象ではなくなり、僕自身も音楽的な興味をそそられなくなってしまった。

今回コラムを書くにあたって、久し振りにこのアルバムを通しで聴いてみた。そこで改めて気づいたのだが、サウンドがなんだか中途半端だ。前作と比べてデジタル機器の使用が増えているのが、かえってサウンドを安っぽくしてしまった。次作『BAD』の方がよっぽど質が高い、と僕は思う。

これはきっとマイケル本人のせいでも、プロデューサーのクインシー・ジョーンズのせいでもなく、たまたま時代がアナログからデジタルに移行する “過渡期” だっただけなのだろう。その点でも、このアルバムが時代の “転換点” だったと言えるのではないだろうか。


Billboard Charts
■ The Girl Is Mine(1983年1月8日 全米2位)
■ Billie Jean(1983年3月5日 全米1位)
■ Beat It(1983年4月30日 全米1位)
■ Wanna Be Startin' Somethin'(1983年7月16日 全米5位)
■ Human Nature(1983年9月17日 全米7位)
■ P.Y.T.(Pretty Young Thing)(1983年11月26日 全米10位)
■ Thriller(1984年3月3日 全米4位)

Billboard(Album)
■Thriller(1983年2月26日 全米1位)

※All Songs by Michael Jackson



※2017年11月30日に掲載された記事を再アップデート


2020.06.25
70
  Songlink


  Songlink


  Songlink
 

Information
あなた
Re:mindボタンをクリックするとあなたのボイス(コメント)がサイト内でシェアされマイ年表に保存されます。
カタリベ
1965年生まれ
中川肇
コラムリスト≫
43
1
9
7
9
僕の鼻歌レパートリーNo.1は、ポールの珍しいディスコチューン?
カタリベ / 中川 肇
45
1
9
8
3
中野のヒーロー野村義男!The Good-Bye が残した極上のポップセンス♪
カタリベ / 本田 隆
76
1
9
8
0
竹内まりやがアイドルだった時代「不思議なピーチパイ」それは奇跡のグッドタイミング♪
カタリベ / 指南役
51
1
9
8
1
親愛なるクラウス・ノミ、限界を恐れぬアーティスト精神と時代を超えた魅力
カタリベ / moe the anvil
109
1
9
8
2
ジョージ・マーティンもプロデュースした “アメリカ” の出身はどこ? 
カタリベ / 中川 肇
83
1
9
8
0
偉大なるAC/DC、全くブレないロックンロールバンド!
カタリベ / 藤澤 一雅