8月5日

80年代を代表する「キャッツ♥アイ」アニメの主題歌を歌うと決めた杏里の決断

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アイドル黄金期のヒットチャートに楔を打ち込んだアニメソング


昭和歌謡史のなかで1983年は、80年代前半にデビューしたアイドルたちの勢いが頂点に達した年。トシ、マッチ、聖子の3強に明菜や薬師丸ひろ子らが加わり、ヒットチャートの首位争いは熾烈を極めていた。

そうしたアイドル黄金期の首位争いに楔を打ち込んだのが、杏里(現在は「ANRI」)が歌う「CAT'S EYE(キャッツ・アイ)」。この曲はオリコンで5週連続1位をキープし、年間売上6位、トータル82万枚の大ヒットを記録する。

しかも「キャッツ・アイ」は、当時放映されていた同名のTVアニメの主題歌。アニメソングと歌謡曲の垣根を飛び越えた作品なのだ。

美人3姉妹が怪盗に扮するセクシーアニメ「キャッツ♥アイ」


TVアニメ『キャッツ♥アイ』は、喫茶店を営む3姉妹が夜になると美術品を狙う怪盗へと変身し、刑事と対決しながら任務を遂行するストーリー。3姉妹の一人と刑事が恋人同士だったり、怪盗の時はレオタード姿に扮したりと、『ルパン三世』をアーバン風にしてセクシーさを増したような作品だ。

原作は、『シティーハンター』で知られる漫画家、北条司氏。1981年に『週刊少年ジャンプ』誌上で連載が始まり、1983年7月から日本テレビ系でTVアニメがスタートした。

当時の『週刊少年ジャンプ』は、『Dr.スランプ』、『キャプテン翼』、『ストップひばりくん』、そして1983年には『北斗の拳』の連載が始まり、部数を伸ばしていた時期。各連載は続々とTVアニメ化され、お茶の間への認知度を高めていた。その流れに『キャッツ♥アイ』も乗ったのだ。しかし、認知度を高めたのは作品よりも主題歌だった。

杏里の決断が促した、音楽シーン3つの変化


『キャッツ♥アイ』のアニメ放映権を獲得した日本テレビは、大人めいたアニメの内容から、シティポップ調の主題歌を用意した。作曲・作詞は、初期の松田聖子作品で知られる小田裕一郎と三浦徳子のコンビ。特に小田裕一郎は、洋楽風でアップテンポの曲作りに定評があり、前年には角川映画『汚れた英雄』の主題歌を作曲、オリコン最高3位のヒットに導いていた。

この楽曲の歌い手として白羽の矢が立ったのが、歌唱力があるアーティストとして注目されていた杏里だった。しかし杏里は、前年に「思い切りアメリカン」をスマッシュヒットさせ、角松敏生のプロデュースでアメリカ風のシティポップ路線に舵を切ったばかり。自分が目指す音楽とアニソンとのギャップに戸惑うが、楽曲の良さに魅かれて歌うと決める。この決断が、音楽シーンで3つの変化を促した。アニソンと歌謡曲の融合、シティポップの市場拡大、そして杏里自身の覚醒である。

ヒットチャートを制したTVアニメ主題歌「キャッツ・アイ」


8月5日に発売された「キャッツ・アイ」は、9月12日には早々とオリコン2位に上り詰め、9月26日に中森明菜の「禁区」を抜いて首位に立つ。この売れ行きの速さは、テレビやラジオで曲を聴いた一般リスナーが、何度も聴きたくなりレコードを買い求めた証。アイドルの牙城だったヒットチャートの首位を、アニソンが制したのだ。クールなメロディー、たたみかけるようなサビ、テクノ風でゴージャスなアレンジは、普段アニメを見ない多くのリスナーを魅了した。

奇しくも同時期には、TVアニメ『みゆき』のエンディングテーマを歌ったH2Oの「想い出がいっぱい」もチャートイン。TVアニメのテーマソングが2曲同時にベスト10にランクインする珍事が起きた。

というのも、当時のTVアニメ主題歌は、子供が覚えやすく歌いやすい曲をアニソン歌手が歌うことが多かったからだ。ゴダイゴ「銀河鉄道999」、井上大輔「哀・戦士」など、アニメ映画のヒット曲は存在したが、それは映画という非日常空間で流れる音楽。お茶の間で子供が見るTVアニメの主題歌は、ランキングを賑わせる歌謡曲とは別枠だった。その枠を破ったのが「キャッツ・アイ」や「想い出がいっぱい」だったのである。

そして「キャッツ・アイ」は、NHK紅白歌合戦の初出場を杏里に与え、翌年春の選抜高等学校野球大会の入場行進曲に選ばれる。ここに、アニソンと歌謡曲が融合したのだ。

シティポップの普及と杏里の覚醒


また、1983年は日本でシティポップが胎動した年。稲垣潤一、杉山清貴&オメガトライブ、EPOなどが頭角を表し、ヒットを飛ばしていた。そうした中で杏里は、「キャッツ・アイ」に続くシングル「悲しみが止まらない」を連続ヒットさせ、両曲を収録したアルバム『Timely!!』がオリコン首位を獲得。シティポップの一般リスナーへの普及に貢献する。

そして、「キャッツ・アイ」の大ヒットは、杏里自身も覚醒させた(ように思えた)。メジャーアーティストに躍り出た杏里は、その後もアメリカンでダンサブルなシティポップを牽引。80年代後半にはダンスポップスの女王の異名を得て自己プロデュースを始め、アルバムが軒並みオリコン首位を飾る黄金期を迎える。

これらの変化を誘発したのは、「キャッツ・アイ」を歌うと決めた杏里の決断であり、それを促した楽曲の素晴らしさであった。それは、杏里自身がこの曲を何度もセルフカバーしていることからも伺える。優れた楽曲はジャンルだけでなく、時間の垣根をも軽々と超えるのだ。


参考文献・媒体
『昭和40年男 Vol.9』(連載特集 昭和58年)/ クレタパブリッシング
『杏里「悲しみがとまらない」よくある寝取られ話が4分25秒のドラマに化けた!』
『1983年10月17日、杏里「CAT’S EYE」が4週目のオリコン1位を獲得~「CAY'S EYE」が開いた新しい時代の『扉』』/ 大人のミュージックカレンダー(不破了三)

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2021.09.22
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カタリベ
1966年生まれ
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