窓の外は闇。そこは、知らない外国の街。
しかも危険な香りがプンプンするリオデジャネイロ。
ホテルで就寝中に、いきなり誰かがドアを開けて入って来たら、皆さんどうですか?
実際にそんな体験をしてしまうと、いまだに恐怖感に襲われます。
ときは30年ほど前、1987年2月のこと。南米に旅行中の私は、友人のI君、N君とリオのホテルに宿泊していました。旅行代理店の手違いで、サンパウロからのエアチケットが手に入らなかったので、代理店のおやじにひとりしきり文句を言ったあと、仕方なく、日系人のおじさんが運転するタクシーをつかまえたのです。しかし、シートは狭く、クッションはボロボロ。約600㎞(おおよそ、東京~大阪間ぐらい)を7時間かけて移動したので、全員疲れきっていました。
そのホテルは、当時、星マーク5つ。つまり5つ星のホテルです。国際会議なども行われたというぐらいですから、当時のリオでは高級ホテルの部類に入るはずです。当然、日本人の感覚から言ったら、安心・安全。ところがですね、エライ目に遭いました。現地時間20時頃だったと思います。移動の疲れもあって、私たちがベッドでウトウトしながら休んでいたところ、突然ドアが開いて男が入ってきたのです。20時ですよ。どんな国のホテルだって、掃除するはずないし、ホテルのサービスとしては、有り得ないでしょう。
電灯も消していたので、部屋の中までグングン進んできた男は、月明かりでやっと私たちが見えたようで、慌てて背を向けダッシュで逃げ去りました。何かしゃべっていましたが、ポルトガル語なので聞き取れません。すぐにフロントに電話して問い合わせたら、やはりホテルでは「そんなことしない」とのこと。じゃあ誰が入ってきたんだよ。合いカギ持ってんだぜ! しかし、日本語でわめいても相手は「????」。話になりません。ほんと、ゾッとしました。
その直前、I君から借りていたウォークマンから流れていたのは、杉山清貴さんの「さよならのオーシャン」。ヘッドフォンをキチッと耳にあててなくても、静寂の中ですから、曲はよく聴こえていました。そんな中、突然の危機一髪ですから、曲まで印象付けられてしまったようです。
そんな体験もあって、30年近く経った今でも、この曲を耳にすると危機の記憶が蘇り、条件反射で身構えてしまいます。部屋に一人だったら、いったいどうなっていたのでしょうか…
さよならのオーシャン / 杉山清貴
作曲:杉山清貴
作詞:大津あきら
編曲:佐藤準
発売日:1986年(昭和61年)5月28日
2016.07.31
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