1982年3月、私の高校の予餞会に、あの石川ひとみさんが来ました。前年に発売された『まちぶせ』は、彼女の最大のヒットとなり、ベスト10入りしていた名曲です。「好きだぁ~ったのよあなた、胸の奥でずぅっと~」こんなこと言われてみたいものですねぇ。
さて、この曲がかかると会場は大興奮。間奏に入ると私たちは、各自手にしたテープやら何やらをステージに向かって投げ始めます。すると、あるテープが彼女の顔に…(こりゃマズイ)。
犯人はすぐに見つかりました。横に立っていたT君が、「俺が投げたのが当たっちゃった!」と興奮して白状したのです(相当うれしそうでした)。何せこのT君。俊足好打の外野手で、その遠投能力もバリバリです。しかも会場は市民会館ですから、ステージまでの距離も近く、テープの芯を抜いてはいましたが、何となく届いてしまったようです。でもさすがですね。(我らが)ひとみさん、一瞬顔色は変わりましたが、あの素敵な笑顔はそのままに、何もなかったかのように歌い続けてくれたのです。最近では、テープ投げは見られませんが(禁止)、むやみに物を投げるのはやめしょう。
因みに、この原稿を書こうとYouTubeをチェックしていると、『まちぶせ』は、1976年に三木聖子さんが発表していることを知りました。思わず三木さんの動画を探しみると、引退した後のインタビュー動画がありましたので、早速視聴。
それによると、三木さんがユーミンと会い、いろいろな体験や気持ちを伝えて、この詞が生まれたそうです。また、ひとみさんも「詞の内容が自分の経験そのままで思い入れは強かったです。録音中もなんか違うんですよ、背中のあたりが。その感覚は後にも先にもこのときだけでしたね」と後に語っているそうです。当時の女性の心情を代弁していたのかもしれませんね。
まちぶせ / 石川ひとみ
作詞・作曲:荒井由実
編曲:松任谷正隆
発売:1981年(昭和56年)4月21日
荒井由実(現:松任谷由実)が作詞・作曲。三木聖子により1976年にシングルが発売された。1981年には石川ひとみのカバーヴァージョンがビッグヒットとなる。荒井由実本人も1996年にセルフカヴァーしている。
2016.01.04
Information