6月7日

グルメブームの火付け役「美味しんぼ」と中村由真「Dang Dang気になる」

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80年代に本格化!グルメブームの火付け役「美味しんぼ」


ここ最近、話題のアニメ『映像研には手を出すな!』(NHK)の主役 “浅草みどり” を担当する伊藤沙莉の声にどハマりしている。これだけキャラクターにピッタリな声が当てはまったのは、アニメ『美味しんぼ』(1988年~1992年 / 日本テレビ系列)に出てくる富井副部長以来じゃないかな? … なんて思い、動画サイトを慌てて検索したのはつい先日の出来事だ。「や~まおか~!」という甲高い声がクセになりますよね。

さて、『美味しんぼ』とは、『ビックコミックスピリッツ』(小学館)に連載される(現在休載中)累計発行部数1億3000万部の記録を誇る大ヒットグルメ漫画である。

漫画も良いけど、アニメはさらに面白い。富井副部長が放つあの声が圧倒的にぴったり過ぎて、“隠れ富井ファン” とかいるんじゃないかな? なんて思うほど、個性が強いキャラクターが目白押しだからだ。

それに加えて『美味しんぼ』は、至高と究極の料理対決というアイデアはもちろん、海原雄山と山岡の親子の確執とか、山岡と栗田さんのまどろっこしい恋愛模様が絡み合う。その面白さはさもありなんと言えるだろう。

ということで、今回は80年代に本格化したグルメブームの火付け役と言われる『美味しんぼ』と、アニメ後期からオープニング曲として使用された中村由真「Dang Dang 気になる」を取り上げて語ってみたいと思う。

原作は雁屋哲、料理のウンチクに親子の確執と恋愛要素を加味


古くは『包丁人味平』(1973年~1977年)、その後も『一本包丁満太郎』(1985年~1996年)『ザ・シェフ』(1985年~1993年)等など、料理漫画の主人公たちは、みんな料理の腕が一流だった。

そんな流れの中、『美味しんぼ』の山岡士郎に関しては、知識は豊富だけれど調理に関しては和食料理屋『岡星』の主人に任せるなど、どちらかというと “オタク” な面が強いキャラ設定である。逆にそこがグルメブームの火付け役になった理由じゃないかな? と僕は推測する。

まず、第1話から『豆腐と水』をテーマにするこだわりようだ。… その中の一節、

「ワインと豆腐には旅させちゃいけない」

と、山岡が理由を説明するシーンがある。詳細は省略するけれど、料理漫画にありがちな鮮烈で華麗な料理の数々とは無縁な、どちらかと言うと驕った美食家たちを蹴散らすようなギスギスしたシーンを第1話に持ってきたあたりで、すでに他の料理漫画とは一線を画しているのだ。その線引きは実に見事である。

その他の料理漫画は、視覚、味覚、嗅覚とか、一般人では到底敵わぬ料理の世界への憧れを描いて人気を得ることに成功していた。けれど、料理に対する素材のウンチクなどを知っているだけで、少しだけ見識がある風に自分を飾れることに着眼した原作の雁屋哲(かりやてつ)は流石である。

話のネタになり、もちろん実益も兼ねる情報を丁寧に取材して『美味しんぼ』に次々と落とし込んでいったのだ。確かに「ワインと豆腐には旅をさせちゃいけないってのはね…」なんて話題は、つい人に言いたくなる情報だ。その料理ウンチク物語を柱に、雁屋は『親子の確執』と『恋愛要素』という2本の柱を加味してみせたのだ。どおりで面白いはずである。

ちなみに、この第1話から栗田さん(ヒロイン)が山岡に対して “気になりはじめている” のも興味深い。主役じゃなくても、それぞれのキャラクターがしっかり作り込まれていて、それぞれの思いをちゃんと語ってくれる。

華々しい描写よりも、人の内面に寄り添ったストーリー展開を中心にしたからこそ長く続いているんだよね。

アニメ版のオープニングを飾った主題歌、中村由真「Dang Dang 気になる」


漫画の人気が空前のグルメブームを牽引し、バブル景気も相まって、アニメ化で一気に人気を博したこの『美味しんぼ』。その主題歌として作られたのが中村由真の歌う「Dang Dang 気になる」(1989年6月リリース)だ。

当初オープニングテーマは結城めぐみが歌う「YOU」が使用されていたが、第24話から最終136話までは「Dang Dang 気になる」が使用された。『美味しんぼ』といえば、ほとんどの人がこちらの曲をイメージすると思う。

中村由真は、1986年に『週刊ヤングジャンプ』主催のオーディションでグランプリを獲得したアイドルで、翌1987年にはフジテレビのドラマ『スケバン刑事Ⅲ 少女忍法帖伝奇』に出演。ドラマでは風間三姉妹である大西結花(長女)浅香唯(三女)に挟まれた次女役として人気になったので、ほとんどの方はこちらの印象が強いと思う。それはともかく、この主題歌が良いのである。

間違いない名曲! 作詞:売野雅勇、作曲:林哲司、編曲:船山基紀


「Dang Dang 気になる」は、売野雅勇(作詞)林哲司(作曲)船山基紀(編曲)という時代をきらめかせる職業作家陣が作ったのだから間違いない。

 Ah… 気持ちの先がときめきの
 境界線からちょっとはみ出しそう
 そばにいると

歌詞の中身は、恋の一歩手前というか、そのラインを越えそうなギリギリの心情が綴られていて、いま風に言えば実にエモい内容である。

それでいて「♪ Dang Dang 気になる~」というポップなサビのメロディが、当時のエレクトリックチューンによって、センシティブでナイーブな乙女心の輪郭をはっきりと描きだすのだ。それを中村由真がちょっと鼻にかかった甘い声で歌うのだからたまらない。中村由真って、ちょっとツンデレ系なんですよね。

切なさと愛しさが溢れるこの歌詞は、漫画の設定をじっくり読みこんでからの当て書きで、山岡と進展しない関係が栗田目線として綴られている。

それゆえ、この曲をバックに流れるオープニング映像で、ちょっと寂しそうな山岡の様子と、栗田さんの電話ボックスのシーン、橋の上から貨物船を見下ろすシーンなど、自分自身の経験とつい重ねてしまい切なくなってしまうのだ。… だんだん気になっていくけれど、自分から想いを伝えるのはちょっとだけ勇気がいるものだよね… なんて、つい物語の世界にのめり込んでしまう。

大ヒットには至らなかったけれど、この曲、僕は名曲だと思うなぁ。

好きに勝るものはなし!愛すべきオタク文化


さて『美味しんぼ』の山岡は間違いなく “オタク” である。オタクとは1970年代に生まれた呼称であり、最近ではポップカルチャーに限らず、自分の好きな事柄に人一倍傾倒する人の事全般を指す言葉として進化してきた。言うなれば、この80年代に特化したこのリマインダーに集まる人たちも立派なオタクである。

世の中にはオタクがいっぱい存在していて、最初に引き合いに出した映像研の浅草氏のような人はたくさんいる。だから共感を呼んで漫画もヒットしているわけだけど、これからはもっともっとオタクが愛される日がやってくると思う。オタク文化って実に愛おしいじゃないか。純粋に好きに向っていく姿はたまらないし、自分の生き方もそうでありたいと常日頃思っている。そう、好きに勝るものはなし! なのだから。

2020.02.16
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カタリベ
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