私がほぼ本州から出ない生活を送っているので、海外の生徒さんとの交流はとても刺激的で面白い。
在日中国人の大学生男子のレッスンをしていて「東京では心を開いて会話できる友達が居なくて辛い」「日本人は安定志向で冒険していない」という話題になった。
まぁLINEで悪口いわれるのが怖くて周りにあわせるのが今の中学生の学校生活らしいし、大学生の就活も「安定」が基準らしいし、あながち外れてはいないのだと思う。
最近では北野武が朝の生放送を欠席したことがニュースになるくらい、現在は残念ながら大人しく空気を読まざるを得ない時代なのだろう。
たしかに本来法律は、はみ出る恐れがあるものに規制をかけるために作られるもので、産まれたときから法律を従順に守って生活するのが基準な日本は大変に平和すぎるのかもしれない。今回は激動と興奮の80年代を知らない若い世代に向けて紹介したい。
ザ・タイマーズの「偽善者」。
タイマーズはコンビニの陽気なCMソング「デイ・ドリーム・ビリーバー」を歌っただけの存在ではない。忌野清志郎によく似たZERRYが中心となって結成された覆面バンドだが、彼らがFM東京を罵倒した伝説の生放送に匹敵する存在が、またいつか出てきてくれることを期待してしまう。
中学時代、ちょっと好きだった部活の顧問の先生がRCサクセションが好きだったのがきっかけで聴き始めた。その先生は生徒たちをかばって学校と対立して辞めてしまうのだが、その姿が当時の私にはとてつもなく輝いて見えた。私もこんな人間になりたい、と本能的に思った。
しかしその後、残念ながら社会に揉まれ、音楽の師弟関係の厳しさも手伝ってとてつもなく従順な人間に成長してしまった時期もあったが、そんな私にも後進を育てていく上でいつも思っていることが一つだけある。
『アーティストは常に自分に正直であれ、そして変態であれ』
言いたいこと言って、やりたいことやって嫌われたっていいじゃない。自分に嘘をつかず、恥ずかしいこともさらけ出す。それが仕事としてできるのがアーティスト。
自分が自分を信じていれば、愛していれば、必ず理解してくれる人はいる。1人でもそんな人がいれば十分じゃない? 忌野清志郎は私の知る中で、最高の社会派変態アーティストである。
タイマーズ…大麻ーズ??
もしその意図があったら相当前衛的だ。
上手い下手だけじゃなく、こんな魂に訴えかけるアーティストがこれからどんどん出てきてくれることを切に願う。そして、こんなデンジャラスでファビュラスなバンドが居たことを再確認してほしい。
2017.10.22
YouTube / 乳悪土
YouTube / UNIVERSAL MUSIC JAPAN
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