1976年 11月20日

厳選シティポップ!カセットテープで聴くドライブソング「夏の都会の夜景」編

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荒井由実のアルバム「14番目の月」がリリースされた日(中央フリーウェイ 収録)
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東京の夜景はほぼ残業でできている… 作る人がいてこそ


30年前、上京して暫くの頃。はじめて東京湾岸の首都高を誰かのクルマの助手席でドライブしたときに思ったこと、「東京の夜景ってモノトーンやな…」。そりゃそうだ。東京の夜景はほぼ残業でできているのだから。

上京するまで、わたしが見慣れていた夜景は六甲山や摩耶山から眼下に広がる神戸の夜景だった。“100万ドルの夜景” と言われた神戸の夜景は、宝石箱をひっくり返したようなカラフルなネオンの光たちが、海と山に挟まれた猫の額のようなちっちゃな土地にちりばめられていた。それからほどなくして、私自身も東京でオフィスの蛍光灯の下で残業を作る側になっていた。

さて、今回のお題は「夏の都会の夜景」。熱気が残る空気の中で、歌詞に「都会」「夜」「光」といったキーワードがある曲を中心に、煌く光たちが奏でる風景を見ながらわたしが聴きたい曲を集めてみた。

陽が落ちて、車の窓を開けて風を感じるとき。高速を流しながら、街中を走りながら、パーキングエリアから。あるいは冷房のガンガン効いたビルの窓際から。時と場所によっては花火も見えるかも。冬の夜景のきらめきにはかなわないけれど、炭酸水でも飲みながら聴いてみよう。

夜景というのは自然発生するものではなく、夜景を作る人がいてこそ作られるもの。夜景を見る人、夜景を作る人、夜景で泣く人、いろんなあなたに。

【Tokyo Night Side】

【A-1】荒井由実 / 中央フリーウェイ(1976年)


 街の灯がやがて瞬き出す
 ふたりして流星になったみたい

 夜空に続く 夜空に続く 夜空に続く

…ドライブの定番としてこれは外せない。右に見える競馬場、左はビール工場というのは中央高速で都心から郊外へ向かうときに見える風景だが、そこはそれ。山手のドルフィンや観音崎の灯台に行ってみるように、上京したユーミン好きが一度は通過する道路だ。最初に通ったとき、「あ、本当に見えるんだ」と思ったものだった。

【A-2】ラジ&南佳孝 / THE TOKYO TASTE(1978年)


 きらめく灯り
 It’s a Tokyo Taste

作詞:高橋ユキヒロ、クリス・モスデル、作曲:高橋ユキヒロ、後藤次利、編曲:高橋ユキヒロ、後藤次利、萩田光雄という布陣でつくられた作品。サウンドも、そこに載っていることばも、極上のアーバン・ポップ。これ以上おしゃれな東京の街を歌った歌があるだろうか。わたしはいまでもこんな情景に憧れて、時々六本木とか青山近隣に行く用事があると地元住民のような顔をして散歩しているが、いまどきはもうどこも似たような風景になっているのが残念でたまらない。

【A-3】濱田金吾 / 夜風のインフォメーション(1985年)




 空に伸びてく高速は
 オレンジの光の河流れて

高速道路ではないが、東京タワーの展望台から見える赤羽橋の五差路の交差点を見ると、なんとなくこの曲が頭に浮かぶ。喧嘩をして別れた恋人との再会とその一夜を歌っているが、1980年代半ば当時はまだそれほどメジャーでなかったコンビナートや工場夜景の素敵さを教えてくれた曲でもある。エンディング、3分50秒あたりで入るコーラスも聴きもの。コーラスは濱田金吾さん、松下誠さん、山田秀俊さん。

【A-4】スターダスト☆レビュー / 夜間飛行(1985年)




 窓の外 ふと見下ろせばイルミネーション

飛行機から見える風景はイルミネーション。そんな機体を眺めながら、空港あるいは空港近くで夜景を見ながら、この曲に歌われるような夜間飛行に思いをはせてみるのもいい。駐機場で並ぶ飛行機たち、飛び立つテール・ランプ、どれも群青色の夜の風景の中に映える。

三谷泰弘さんのいたころのスタレビは、当時としては結構おしゃれな音作りだったように記憶している。伸びやかなヴォーカルが聴いていて気持ちいい。そのままどこかに行ってしまいたくなる。

【A-5】大貫妙子 / 都会(1977年)




 眠らない光の街
 ざわめく光の洪水

きらめく都会を作っている、傍目にも華やかに見える男女の心のうちを、最後にさりげなくそっと明かす。これからずっとずっと一緒に居たい、そんな人とふたりでドライブしているときに、少し車をパーキングに寄せて聴きたくなる一曲。

【Haneda~Hong Kong Side】

【B-1】細野晴臣&イエロー・マジック・バンド / 東京ラッシュ(1978年)


 逃げろ香港まですっとび

夜景のもとになる光を作る現場は、猥雑さあふれるトーキョー。都市高速道路から見える光はそんな猥雑さの中でできている。ときには逃げ出したくなる。ホノルル、モスコウ、ダッカ、逃げろ香港まですっとび!

この曲は森高千里さんが1998年に細野晴臣さんがプロデュースしたアルバム『今年の夏はモア・ベター』でカヴァーしている。少しテンポが速い森高ヴァージョンでも“逃げろ香港まですっとび”はこの曲をつくった細野さんが歌っている。20年経つとすっとびのスピードが少し上がっているようだ。

【B-2】松任谷由実 / HONG KONG NIGHT SIGHT(1981年)


 夜明けになれば枯れる露草ほど
 月の光に可憐に咲く

アルバム『水の中のASIAへ』収録。私がはじめて聴いたのはユーミンの45回転のアルバムが出た高1のときだった。当時の香港の華やかさを彷彿させるサウンドと、夜景をつくる側の現地の女性のことを想うことばの深いギャップに気づいたのはいつ頃だろう。もっとずっと後、少なくとも大人になってからのこと。

初出は松任谷正隆さんのアルバム『夜の旅人』(1977年)。ユーミン版ではイントロに入る香港到着時の英語のアナウンスだが、正隆さん版ではより本物っぽく、ワイングラスを合わせる効果音なども間奏のサックスのソロにかかる。正隆さんが半ばやけっぱち気味に歌うヴォーカルも含めて快作かつ怪作。

【B-3】神崎まき / 香港的士〜Hong Kong Taxi〜(1994年)


 天星小輪(Star Ferry)から
 湾仔の街明かりを見つめて涙がこぼれた
 本当ならふたり
 水上渡輪(ジャンク)に揺られて接吻(キス)してたはず
 「慕情」みたいにね

1998年7月5日まで利用されていた香港の啓徳空港はヴィクトリア・ハーバーに面しており、百万ドルの夜景を空から眺めながら光の海に着地する、危険かつ夜景好きにとってはたまらない空港だった。この曲はそんなシーンから始まる。

オリエンタルでポップでカラフルで楽しいサウンドに、けっこうせつない歌詞が載る。海を越えて追いかけてきてまでして、一人で北京ダック食べるなんて切なすぎる。ちなみに作曲はクレイジーケンバンドの横山剣さん。後に歌詞を書き換えてセルフカヴァーしている。

【B-4】浜田省吾 / ベイ・ブリッジ・セレナーデ(1993年)




 A Long lonely night
 橋の上 街あかり見ている

浜田省吾さんによるアカペラ。2004年に発売された、横浜を題材にした曲のコンピレーションアルバム『横浜幻想』にも収録されている。

夜明け前の横浜ベイブリッジでひとり車を止めて、つぶやくような男の歌にしびれる。きっと素敵な男性なんだろうと、ひとりそんな妄想を膨らませてみる。横浜には夜景の名所が幾つもあるが、横浜ベイブリッジは市街地から観るのも、そこからみなとみらいなどの市街地を眺めるのも良い場所だ。2022年6月25日には横浜ベイブリッジスカイウォークも再解放された。こんど行ってみようと思っている。

【B-5】クレイジーケンバンド「ドライヴ!ドライヴ!ドライヴ!」(2014年)




 目的地はハンドル任せ
 予想もできないグッとくる夜景
 ふたり占め

狙ってハンドルを向けることはあっても、ほんとうにハンドル任せで偶然いい夜景に巡り合うことはそれほどないのでは。ともあれ、ハンドルを握るドライバーとしても、助手席に乗るナビゲーター側としても、こんなシーンには心底憧れる。横山剣さんのヴォーカルといい、気持ちのいいサウンドといい、歌詞の内容といい、ドライブ・ソングとしてはけっこう最高峰ではないかと私は思っている。

テレビ東京系『ドラGO!』のテーマとしても流れていた。クルマはタイムマシーンにもなりえる。ちなみに歌詞にある「機内音楽 たとえば想い出のボズ・スキャッグス」は「Lowdown」(1976年)だと勝手に妄想している。


―― 以上10曲、私が思い付いた曲ばかりを集めてみたが、他にも夜景を見ながらのドライブに好適な曲はたくさんあるので、みなさま、お好みの曲をプレイリストにしてみることをお勧めする。ただし、夜景を見ながらのドライブの際はくれぐれも安全運転にてどうぞ。

特集 FMステーションとシティポップ



2022.07.09
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カタリベ
1965年生まれ
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