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80年代洋楽にビジネスを学ぶ:シンディ・ローパーのアトラクション&リテンション #2

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シンディ・ローパーのアルバム「トゥルー・カラーズ」が米国でリリースされた日
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photo:FANART.TV  

シンディ・ローパーのキャリアは、デビューアルバム『シーズ・ソー・アンユージュアル(N.Y.ダンステリア)』の大ヒットで好スタートを切ったが、その時点では僕たちは彼女をある種の色物として認識していた。

なぜなら、彼女のファッションやビデオクリップは奇抜だったし、グラミー賞の授賞式にハルク・ホーガン(当時WWF世界王者)をボディガードととして連れてきたことなど、色物の印象を与える材料に事欠かなかったからだ。

だが、2ndアルバム『トゥルー・カラーズ』では良い意味で裏切られた。

タイトル曲「トゥルー・カラーズ」や「チェンジ・オブ・ハート」に代表されるように、非常にアーティスティックで洗練された作品に仕上がっていたのだ。日本の音楽メディアはマドンナの『トゥルー・ブルー』との “トゥルー対決” と煽っていたが、僕はシンディの方がクオリティが高いと思っていた。

しかし、このようにクオリティの高い新譜を出すことでファンをグリップするアプローチ、即ちアトラクションを未来永劫続けていくには限界がある。なぜなら、聴き手はいつだって飽きっぽいものだし、作り手の才能はいつか必ず枯渇するからだ。

僕の知る限り、キャリアの最初から最後までアトラクションに成功し続けたアーティストは後にも先にもザ・ビートルズだけだが、彼らの活動期間は10年に満たなかったし、1つのバンドに複数の天才ソングライターがいたのも奇跡的なことで、一般論に置き換えることはできない。

そこで、別のアプローチ、即ちリテンションのための戦略が必要になる。

実際、一旦アトラクションに成功したアーティストの多くが、10年後には「あの人は今」状態になっているし、運よくそうならなかったとしても、更にその10年後には老体を晒しながら騙し騙し活動を続けているのが現実だ。

2016年の全米オープンテニスの開会式では、長らく病気休養していたフィル・コリンズが復帰パフォーマンスを見せたが、全盛期とは打って変わった弱々しい姿が観る者を悲しい気持ちにさせた。これを観た僕の友人(高校時代の同級生で今もアマチュアバンドでドラムを叩いている)はこんなことを言っている。

ーー そこまでして病み上がりのスターを担ぎ上げて、晒す意味はあるんだろうか? ストーンズとかクラプトンとか、ジミー・ペイジとか、もういい加減ライブに熱くなるのはどうかと思いますねー。酷い演奏を有り難く高い金払って行くのは、音楽に対する侮蔑ではなかろうか? クラシックの世界なら、指がちょっと動かないだけで、オケはクビですからね。

さて、『トゥルー・カラーズ』もヒットして盤石に見えたシンディ・ローパーだったが、その後メディアでの露出は急激に減っていくことになる。


#3につづく


脚注:
■Cyndi Lauper
『She's So Unusual』(84年6月2日4位)※アルバム
『True Colors』(86年11月15日4位)※アルバム
「True Colors」(86年10月25日1位)
「Change Of Heart」(87年2月14日3位)

■Madonna
『True Blue』(86年8月16日1位)※アルバム

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2017.02.16
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