またまた登場、昭和の面倒くさい小学生・矢沢君!
今冬、JRのスキーデスティネーションキャンペーン広告で1987年に公開された映画『私をスキーに連れてって』が使用され、バブル期に青春を送った我々に「どれ、久しぶりにスキーにでも行ってみるか」といった感情を思い起こさせている。
今回のエピソードは、この映画の主題歌にもなったユーミンの10枚目のアルバム『SURF & SNOW』が1980年に発売される2年前の話だが、もしかしたら矢沢君とある物がアルバム制作に関係しているのではないかと思い、その根拠を記しておきたい。
まずはその「ある物」を説明しよう。
乗降客の多いターミナル駅では複数のエスカレーターが併設されていると思うが、そのエスカレーターとエスカレーターの間に人間が一人滑り降りられるくらいの幅がある場合がある。
その合間にタテ10cm、ヨコ20cmくらいの落下防止の金属板が設置されているのをよく見かけるが、それが「ある物」である。そして、その「ある物」は我々の間で「矢沢ストッパ」と命名されている。
日本エレベーター協会のホームページではそのある物を単に「すべり止め=物や人が金属製の表面をすべり落ちないようにするための対策である」と説明しているが、なぜその対策が必要になったかの記述はない。
我々は1978年の夏休み前、課外学習で横浜駅に矢沢君が降臨したことによって、日本エレベーター協会がその対策を余儀なくされたのではないかと考えている。「まだ本気を出してない」「ボタンがあれば押す」そんな座右の銘を多々持っている矢沢君の眼前に、十数メートルにも及ぶ急勾配のステンレスの板があったらどうなるだろう。
そう、彼にしてみれば「そこに山があるから」と同様に「そこに滑り台があるから」という単純な理由で滑って遊んでいただけなのであった。しかし、お天道様は許しても駅務員さんは許さなかった。
引率の教員共々駅務室に連行された矢沢君は首根っこを掴まれつつも我々に小さなピースを後ろ手で送っていた。
ゲレンデのカフェテラスで
すべるあなたに くぎづけ
派手なターンで ころんで
煙が舞い立つ
スタイルなんて どうでも
あなたらしけりゃ最高
プロの選手もコーチも
出る幕がないよ
あの「矢沢ストッパ」を見ると “小さな事なんか気にするな、ハイな気分で行こうぜ” という矢沢君を思い出し元気が出る。
悩みごとは とりあえず
帰ってからの宿題
(中略)
つれてゆこうか これから サーフ天国へ
つれてゆこうか これから スキー天国へ
もしかしたら、ユーミンがあの一連の出来事を横浜のカフェテラスから見ていて「サーフ天国、スキー天国」のインスピレーションを得たのではないかと……。
歌詞引用:
サーフ天国、スキー天国 / 松任谷由実
2018.02.09
YouTube / teammtmarron
Information