4月25日

伊藤銀次が教えてくれたカラー盤探求の悦、レコード盤は黒だけじゃない!

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大滝詠一から佐野元春、トライアングルの流れで伊藤銀次を知る


今でこそレコードを大人買いしたりしているが、中学・高校時代は何枚買えただろう? 限られた小遣いゆえ、LPなら月に1枚買えるか買えないか。バイトをしたときは2、3枚買えたけれど、いずれにしても今ほど買えたワケではない。とにもかくにも、金はないのにやりたいことがたくさんある十代は飢餓状態だ。それゆえ、レコードを買って思わぬ “オマケ” が付いてくると、とてつもなく嬉しかった。

1981年、同年代の多くのナイアガラファンと同様に、『A LONG VACATION』にのめりこんだ自分は大滝詠一の大ファンになった。その流れで佐野元春にものめりこんだ。翌1982年3月に発売された『ナイアガラ・トライアングルVol.2』は新聞配達のバイトをして買った。『Vol.2』を買った以上は、『Vol.1』も買わないといけないのは、今も昔もオタクのサガだ。そして伊藤銀次を知る。今は、佐野元春のバンド、ザ・ハートランドのギタリストと知り、無邪気なオタクは興奮した。すごい人だ!

名曲揃いの「BABY BLUE」タイトルにピッタリの青いレコード盤


そんなワケで、1982年4月25日に発売される銀次さん(すいません、面識はないけれど、こう呼ばせていただきます。リマインダー寄稿の同志ということで、お許しを…)のソロアルバム『BABY BLUE』を地元のレコ屋に予約。続けていた新聞配達のバイトで得たお金を握りしめて、高校1年のマナブは発売日に無事ゲット。雪深い秋田で、頑張って自転車をこいで配達した甲斐があった。

家に帰って、さて聴こうと思い、レコードを取り出して驚いた。レコード盤が青い!今までレコードというものは黒いと思っていた自分にはカルチャーショックだった。学習雑誌のオマケに付いていたソノシートの赤い盤は見たことがあるけれど、このレコードはソノシートのようにペニャペニャしていない! すごい!!…… と、東芝音工の赤盤がその昔あったことをまだ知らない当時十代だった私は感動した。素敵なオマケだ!

“BLUE” というタイトルにピッタリの、その青いクリアビニールがターンテーブルの上でクルクル回るのを見ているだけで、ニヤニヤしてしまうが、音の方もとびっきりポップで、聴いているだけで楽しくなる。タイトル曲はオリビア・ニュートン=ジョンの「ザナドゥ」を切なくしたような感じ。モータウンビート(という言葉は当時は知らなかったが)の「CONGRATULATIONS」、ノリノリの「プラネット・ガール」、ナイアガラ・サウンド風の「センチメンタルにやってくれ」等々、名曲が揃っていた。大好きだ、このアルバム!

カラーレコードのオンパレード! ピンク、グリーン、オレンジなどなど…


5か月後、銀次さんは早くも次なるソロアルバム『SUGAR BOY BLUES』をリリースする。これも予約して買ったのだが、盤を取り出したら今度はピンクのクリアビニール! 曲もとにかくポップで、タイトル曲をはじめ、はじけるところははじけて、切ないところは切ない。これも大好きだ!

こうなると追いかけないわけにはいかない。高2になったばかりの頃に買った、1983年4月の次なるアルバム『STARDUST SYMPHONY '65-'83』はグリーン、10月発売の『WINTER WONDER LAND』はオレンジのクリアビニール。うぉぉ! 嬉しい!! 振り返ると “色気狂い” を地で行っていた時期。

高3になり、受験勉強もしなきゃいけなくなって新聞配達は止めた。お金もないので、この年の7月に出た銀次さんのアルバム『BEAT CITY』は予約をせず、発売日から少々遅れて購入したのだが、盤はフツーに黒かった。あれっ!? と拍子抜けした。

後になって知ったのだが、銀次さんのこの頃のアルバムは、初回盤のみカラーレコードだった。セカンドプレス以降は、通常の黒盤。なので、『BEAT CITY』の初回盤が何色だったのかは、秋田の田舎者には知る由もなかった。

ツーショットの感動、ジャガー&リチャーズより “元春&銀次” が原点!


その後、世の中にはピクチャーレコードやら変形レコードやらがあることを知り、楽しみは広がった。現在、欧米でリリースされているレコードの多くは、限定でカラーレコードやらピクチャー盤がリリースされており、好きなアーティストのレコードはなるべくその仕様で入手するようにしている。そんな楽しさの私的な原点に、レコードを買う楽しさを教えてくれた銀次さんがいる。感謝しかない。

感謝ついでに、もうひとつ。高校1年の冬、つまり銀次さんが『SUGAR BOY BLUES』をリリースした後、秋田で佐野元春の公演が行なわれ、マナブは汽車に乗って足を運んだ。もちろん、ギターは銀次さんだ。ライブは本当に熱狂的で、アンコールでは観客が前方に殺到。自分もその中のひとりだったが、指定座席は破壊され、狂騒の状態に。あの時のことは今も記憶に生々しい。

そして何より佐野元春&銀次さんのツーショット。言うまでもなく、ザ・ハートランドの演奏も素晴らしかったのだが、とりわけふたりの私的カリスマが並ぶ構図には背筋がゾクゾクした。のちにナマで目にするミック・ジャガー&キース・リチャーズ、ロジャー・ダルトリー&ピート・タウゼントにも震えたが、ツーショットの感動の原点は、コレだ。ありがとうございました!

2020.06.03
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カタリベ
1966年生まれ
ソウママナブ
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