レコード屋さんにはきっと皆様それぞれ深い思い出がありますよね。中学、高校の頃って、皆様どこでレコードもしくはCD買われてました?
私が住んでいたのは小さな街だったので、レコード屋は1軒しかなく、それも同級生のお家。欲しいレコードがある時はお取り寄せ必須な狭い世界。
… が! そんな環境は小学生まで。私が中高生から通い始めた学校の通学途中にタワーレコード元町店があったのです!
私のレコード愛が一気に爆発。タワーレコード元町店に入り浸り、ジャケットを眺め、レコードの匂いを嗅ぎ、通いまくった末に少ないお小遣いから小銭を貯めてやっと厳選した1枚を買うという、キラキラした日々がやって来ました。
当時、タワーレコードは元町の入り口(石川町側)の交差点の二階にあり、タイル張りの外階段。白いタイルや手すりの感じを今でも良く覚えています。
気分を高揚させて、スキップで入店したいところですが、実は私の学校は寄り道大厳禁! 先生の見回りに見つかったら、それはそれは大変なのです。先にお話したように、このお店は交差点にあり、外階段も目立つ場所にあるので慎重に周囲の目を盗み入店しなければなりません。その後はレコードに集中しつつも、入り口からのお客には絶えず目を配る必要がありました。
ある日、いつものように入店者に気をつけながらレコードを吟味していると、見た顔が… それは父でした!
「寄ってみただけだ」なんで軽く言っていましたが、心配だったのと保護者がいれば学校の先生に見つかっても問題ないと思って、わざわざ電車を乗り越して来てくれていたんですよね。今更ですが、可愛がって貰っていたなぁと涙が出ます。当時は「なんで、来たのよう!」なんて言っちゃってごめんなさい。父に好きなアーティストのこととか、今、世界で流行っているレコードを紹介するのは本当に楽しかったなぁ。
ちょうどその頃は USAフォー・アフリカの「ウィ・アー・ザ・ワールド」がリリースされており、父はチャリティのための曲という部分に惹かれて「お父さんはこうゆうのは好きだ」とレコードを購入。うちの父は頭カチカチだったので『正しい』っぽいものが大好き。帰ってから、家族に聴かせてご満悦だったので、ちょっとホッとしました。
「ウィ・アー・ザ・ワールド」は、その親しみやすい楽曲と、父でも知っている名のある歌手が歌っている点が気に入ったようでした。カセットテープに録音して良く聴いており、その後「チャリティだからな」なんて言いながら、ビデオも購入してくれたので、ありがたかった。
そんな父の最近といえば介護が必要な年となってしまい、この頃一緒にいる時間が増えて来ました。この前、久しぶりに「ウィ・アー・ザ・ワールド」を聴かせたらすごく懐かしがって「ここのライオネル・リッチーの歌唱力が良い」「マイケルはもっと前に出て来てもいいんじゃないか?」なんて自分の意見を言い出すものだから、父の愛おしさ、倍増しちゃいました。
お父さん、チャリティってだけじゃなくて、この曲が本当に好きだったんだねぇ。「元町のタワーレコードもまた行きたいねぇ」なんて言うんだけど、元町のタワーレコードは残念ながら2007年に閉店。大好きな店舗だったし、音楽を好きになる気持ちを確実にあげてくれた場所なのでとても残念です。でも、これからも、私の中でナンバーワン店舗であり続けるでしょう。
父をタワーレコード元町店には連れて行ってあげられないけれど、まだ「ウィ・アー・ザ・ワールド」のレコードもビデオもちゃんと私が保管しているから、今度、実家に持って帰って久しぶりに見せてあげよう。
それから、今更ではあるけれど、今度はちゃんと「タワーレコードまで来てくれてありがとうね」って、お礼を言わないとね。
2018.07.10
YouTube / USAforAfricaVEVO
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