デイドリーム・ロマンス、松崎しげるという哀愁とダンディズム

「愛のメモリー」（1977年）が大ヒットし、当時、女性ファンからは「マツ君」などと呼ばれていてアイドル的な人気も持ち合わせていた松崎しげるさん。

勿論、僕たちにとっても『噂の刑事トミーとマツ』（1979年～1981年）で演じたドジでモテない刑事・マツ役で大人気だった。背が低くてガニ股でシークレットブーツを愛用、最近じゃなかなかいないベタなキャラクターが強烈にハマっていた。

そんな三枚目を演じてきた松崎さんだが、声優として宇宙海賊・コブラを演じているのを皆さんは御存じだろうか？

『コブラ』（作・寺沢武一）は少年ジャンプで連載されていた漫画で、左腕に銃（サイコガン）を仕込んだ一匹狼の宇宙海賊・コブラの活躍をアメコミタッチで描くスペースオペラ。82年の夏に公開された劇場版アニメでは、松崎さんのハスキーでしわがれた声がチョイ悪な感じを醸し出していて賛否両論ではあったが、とても魅力的なキャスティングだった。

そして、この映画の主題歌として松崎さんが歌った曲がこれまた最高。今でも忘れられずにいる。


どんな痛みがついていてもいいさ
今はこの目に映るままのあなたなら
白い真昼を そしてどこへ ふたり
吐息まじりの 浮かれ風に流されて

愛にたどりつくまでは 抱いてやりたいけど

Daydream 出逢いは うたかたの夢
味気なさに 目醒めるだけ
Daydream 心に 迷いこむより
めくるめく時を もう一度


その曲は「Daydream Romance / デイドリーム・ロマンス」。

ハンフリー・ボガードを髣髴とさせるハードボイルドな雰囲気。大人の男の哀愁、ダンディズムを感じさせる、そんな隠れた名曲だと私は思っている。


Daydream Romance / 松崎しげる
作詞：ちあき哲也
作曲：鈴木キサブロー
編曲：東海林修
発売：1982年７月３日

2016.01.25