そんな彼女が「カープール・カラオケ」に出演したのは、英国出身の俳優でコメディアンのジェームズ・コーデンがホストを務める深夜トークショー『The Late Late Show』の第3回放送回(2015年3月25日)のことである。そして、実はこれが「カープール・カラオケ」のスタート回でもあった。彼女が出演を承諾したのは、自身がジョージ・マイケルの大ファンだったからという説もある。
ただ、動画を観てもらえれば判るが、彼女は最初明らかに乗り気ではなく、不機嫌そうに「I'm not singing today. I was up all night.」と言っている。しかし、ジェームズ・コーデンのノリの良さと忍耐強さによって、マライアも少しずつノッてきて「オールウェイズ・ビー・マイ・ベイビー」、「ファンタジー」、「ヴィジョン・オブ・ラヴ」などを一緒に口ずさむようになった。
ところで、この「ヴィジョン・オブ・ラヴ」は彼女のデビュー曲であり、この曲のヒットによってグラミー賞の「Best New Artist」と「Best Pop Vocal Performance, Female」を受賞した。僕自身は彼女に特段の思い入れはないが、それでもこの曲はいい曲だし、デビュー曲がこの曲だったから、彼女が短期間にトップシンガーに上り詰めることができたのではないかと思う。
それはともかく、「カープール・カラオケ」は当初、有名アーティストがなかなか出演をOKしてくれず、キャスティングに難航していたと言う。ところが、マライアの出演回が放映されると、ジャスティン・ビーバーやアデル等の有名どころが次々と出演するようになったそうだ。ジェームズ・コーデンは「カープール・カラオケ」の成功について、「It would have never happened if it wasn't for George Michael and Mariah Carey.」と言っている。
Vision of Love / Mariah Carey 作詞・作曲:Mariah Carey, Ben Margulies プロデュース:Rhett Lawrence, Narada Michael Walden 発売日:1990年5月15日
脚注: 「One Sweet Day」(95年12月2日1位) 「We Belong Together」(2005年6月4日1位) 「Always Be My Baby」(96年5月4日1位) 「Fantasy」(95年9月30日1位) 「Vision of Love」(90年8月4日1位) 2017.01.27