4月21日

岡田有希子と竹内まりや、80年代の革新が普遍化した「ファースト・デイト」

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photo:PONY CANYON  
photo:Warner Music Japan  

80's Idols Remind Me Of… Vol.16
ファースト・デイト / 岡田有希子


ある意味、今年2019年の最大の話題作となった、竹内まりやの『Turntable』。かつて他者に提供した楽曲のセルフカバーも収録されており、そこには80年代と90年代を彩った “正統派アイドル” 岡田有希子「ファースト・デイト」と広末涼子「MajiでKoiする5秒前」という2大名曲も収められていた。

CD リリース直前の夏ごろ、ラジオから流れてきた竹内まりや版「ファースト・デイト」を耳にした時、様々な思いが心中去来して胸を締め付けられた…。

還暦過ぎたいい年のお姉さまが十代女子の初デートのドキドキ感を歌うのかよ、という無粋な突っ込みは無視するとして、岡田有希子にまつわる特殊な事情を鑑みれば、竹内まりやが「ファースト・デイト」をセルフカバーするに至るまでの心の中における葛藤は、察するに余りある。

というか、第三者がとやかく言うようなことではないような気がしたり。これは竹内まりやなりの、追悼の意も込められているのだろう。岡田有希子、生きていれば52歳となった2019年、作者の竹内まりやは長年の封印を解いて「ファースト・デイト」を世に出した。

あらためて「ファースト・デイト」は、サンミュージックが本気でポスト松田聖子の座を目論んで鳴り物入りでデビューさせた岡田有希子のデビューシングルだ(1984年4月リリース)。松田聖子の成功が決定打となった “アイドルのシティポップ化”(ニューミュージック化)は、80年代アイドルソングの特徴的革新のひとつだったが、小さな革新の積み重ねこそが大衆音楽というもの。

84年、正統派アイドルの鳴り物入りデビューシングルに、新進シンガーソングライター竹内まりやを起用したということは(デビューからおよそ6年!)、その革新が普遍化してきたということ。そういう意味では、このマイナー調ながら初デートの高揚感/ドキドキ感をかわいらしく見事に表現した洋楽風歌謡、岡田有希子と竹内まりやのタッグだからこそ誕生した「ファースト・デイト」は、実にエポック・メイキングな名曲だったのだ。

これ以前の竹内まりやによる他者への提供曲は、アン・ルイス「リンダ」(80年)、河合奈保子「けんかをやめて」(82年)あたりが、お互いの箔付けとなった主な作品。しかし「ファースト・デイト」の世界観のひな形は、堀ちえみ「待ちぼうけ」(82年)に見いだせるだろう。こういったアーティスト / シンガーに対応した竹内まりやの応戦能力の高さは、あらためて感服するしかない。

岡田有希子はこの後、竹内まりやの数曲を経て、坂本龍一作曲(松田聖子作詞!)「くちびるNetwork」(86年)でオリコン1位を獲得、いよいよトップアイドルの座につこうかという矢先、あの悲劇が起きる…。そのシーンをけん引していた岡田有希子の不在は、革新の普遍化が一気に潰えた瞬間だった。

折しもシティポップ化、あるいは王道アイドルへのカウンターパンチのようなおニャン子クラブ軍団が隆盛を極め、80年代終盤の “アイドル冬の時代” へと突入していく…。あのまま岡田有希子が正統派アイドルシーンのトップを走り続けていたら、歴史は変わっていたのだろうか。

2019.10.28
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カタリベ
1962年生まれ
KARL南澤
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