4月5日

アメリカ音楽への敬意と誇り、歌うはジョン・クーガー・メレンキャンプ

19
1
 
 この日何の日? 
ジョン・クーガー・メレンキャンプのシングル「ロック・イン・ザ・U.S.A.」がビルボードHOT100で最高位(2位)を記録した日
この時あなたは
0歳
無料登録/ログインすると、この時あなたが何歳だったかを表示させる機能がお使いいただけます
▶ アーティスト一覧

 
 1986年のコラム 
河合奈保子「涙のハリウッド」あえてキラキラポップスに挑んだ隠れた名曲

美しく繊細な松本隆の歌詞、The東南西北「内心、Thank You」は失恋ソングNo.1

モノマネはデーモン小暮、聖飢魔Ⅱを聴きまくった人生の転換期

ポニーテールの妖精 斉藤由貴の危うい魅力、NHK朝ドラ「はね駒」に大抜擢!

FM横浜の開局と伊藤銀次の「POP FILE」竹田和夫が遠山金四郎に?

スシ食いねェ!の英語ヴァージョン「Oh!SUSHI」は国際化の尖兵?

もっとみる≫




共有感満載の80年代洋楽ヒット!ビルボード最高位2位の妙味 vol.52
Rock In The U.S.A. / John Cougar Mellencamp


80年代において、本国アメリカとその他の国で大きな人気の隔たりがある典型的なアーティストといえば、ボブ・シーガー(&ザ・シルバー・ブレット・バンド)とジョン・クーガー・メレンキャンプが双璧だろう。

どちらも米・ルーツロックを基盤とした渋いサザンロックを体現している。そして、イナカのあんちゃん風情(ボブはひげ面のおっさん)といったところが共通項だろうが、ビジュアル時代に突入後のキラキラした百花繚乱の80年代において、アメリカ以外の国でこの手のアーティストの人気を高めようとしてもなかなか難しいのは無理もない。

もちろんアメリカ本国では(カントリーミュージックとは別次元で)この手のスターはいつの時代にも必ず存在しているわけで、とりわけ80年代におけるジョン・クーガー・メレンキャンプの人気は絶大であった。

彼の出世作にしてメガヒットとなったアルバム『アメリカン・フール』(82年)に勝るとも劣らないセールスを記録したアルバムが『スケアクロウ』(85年)。そこから輩出されたのが、80年代50番目に誕生したナンバー2ソング「ロック・イン・ザ・U.S.A.」(86年4月2位)だ。

副題に “A Salute To 60’s Rock”(60年代ロックに敬意を表す)とあるように、これはロックンロールの創成期・黎明期であった50年代後半から60年代に活躍したパイオニアたちに捧げた作品である――

“Oldies but Goodies” の精神の下、アメリカが生んだ偉大なるロックンロールをベースとした50~60年代のヒットソングへの再評価・再構築の気運は、70年代後半から常に散見されていた。そして、ジョン・クーガー・メレンキャンプに代表されるアメリカンアクトたちには、自分たちの国(アメリカ)が創り出した音楽へのリスペクトと誇りを感じることができた。また、それは伝統の継承といったものが滲み出るようなスタンスで臨んでいるように思えた。

そう、アメリカの良心とも言われるジョンが、ロックンロールへのそういう思いを真摯に表現したのが『スケアクロウ』であり、「ロック・イン・ザ・U.S.A.」だったのだ。

歌詞の中に出てくるレジェンドスターたち。フランキー・ライモン、ミッチ・ライダー、ヤング・ラスカルズ、ジャッキー・ウィルソン、ジェームス・ブラウン。あまりに絶妙な人選に納得できると同時に、名前を耳にするだけでも、楽しくなってくる。しかし、アメリカ以外の国には意図するものが伝わりにくいというのも、確かかも。

「ロック・イン・ザ・U.S.A.」のトップ到達を阻んだのは、ファルコの「ロック・ミー・アマデウス」(86年1位)。同じ “ロック” 使いの曲だったが、オーストリアのアーティストにしてやられたのには、ジョン・クーガー・メレンキャンプも忸怩たる思いだったのではないだろうか。

2018.05.31
19
  YouTube / John Mellencamp
 

Information
あなた
Re:mindボタンをクリックするとあなたのボイス(コメント)がサイト内でシェアされマイ年表に保存されます。
カタリベ
1962年生まれ
KARL南澤
コラムリスト≫
43
1
9
8
2
矢沢永吉「It's Just Rock'n Roll」その先にある、まだ見ぬ新境地へ
カタリベ / 本田 隆
31
1
9
8
4
自らの心を映して歌い続ける、スティーヴ・ペリーの歌のチカラ
カタリベ / 中塚 一晶
22
1
9
8
2
ちょっとイナタいあんちゃん風情、いよいよブレイク!ジョン・クーガー
カタリベ / KARL南澤
33
1
9
8
5
スプリングスティーンが歌う「栄光の日々」今が過去になる前に…
カタリベ / 宮井 章裕
33
1
9
8
2
ジョン・クーガー「ジャック&ダイアン」懐メロになんてならない魂の歌
カタリベ / 太田 秀樹
12
1
9
8
7
ブルース・スプリングスティーンの葛藤「一歩前進、二歩後退」
カタリベ / 宮井 章裕