外国映画で一番最初に好きになったのが『小さな恋のメロディ』(1971年公開)だ。
―― と言っても、初めて観たのは映画館ではなく、1976年に『日曜洋画劇場』で放送された時なので、僕は中学生になったばかりの頃。映画を観終わってすぐにもう一度観たい! と思った。でも当時はビデオデッキもなければ TSUTAYA もない。中学生にできることと言えば、ひたすら再放送を待つのみ。
この映画をもう一度観たいと思った理由は、メロディ役のトレイシー・ハイドを見たかったから。メロディに一目惚れする少年を自分に置き換えて、まるで自分が一目惚れしたかのように観ていたのかもしれない。それはトレイシー・ハイドの魅力なのか、吹き替えの杉田かおるの魅力なのかよくわからないが、とにかくメロディの魅力にやられてしまったのだ。
そしてそんな気持ちを盛り上げたのが、劇中で流れるビー・ジーズの音楽だ。とにかくすべての曲が綺麗で瑞々しい。今聞いてもその印象は全く変わらない。“エバーグリーン” とはこういう曲のことを言うんだろうな。再放送があるまで映画を観られないならサントラだけでも聴くしかない。とにかく映画を思い出そうと、聴いて、聴いて、聴き倒していた。
劇中での曲の使い方もちょっと変わっていて、テーマ曲の「メロディ・フェア」をはじめ合計5曲、Aメロやサビだけでなく、どの曲もほぼ一曲丸ごと使われている。さらに曲が流れるシーンにはセリフが一切ない。まるでビデオクリップ。セリフがなくても曲と映像だけで、登場人物の気持ちや関係性が伝わってきてグッと魅力溢れるものになっている。このビデオクリップ的なシーンがなければきっと僕はこの映画をそれほど好きになってないだろう。
1978年に『サタデー・ナイト・フィーバー』が日本に上陸、劇場公開された。この映画にもビー・ジーズの曲がサントラとして使われていると聞き、またあの瑞々しいサウンドが聴けるのかと楽しみにしていたのだが…
「ステイン・アライヴ」を聞いた時は耳を疑った。
ディスコ!?
いやいや、そんなことよりその声どうしちゃったの!
声変わり? 逆だろ!
他の曲は?
恋のナイト・フィーバー?
これも声がヘ~ン!
あのエバーグリーンはどこ?
僕は迷うことなくビー・ジーズの扉に鍵をかけたのだった。
そして時は流れる――
フジテレビ NEXT で放送していた『グラストンベリー・フェスティバル2016』でコールドプレイとバリー・ギブが「ステイン・アライヴ」を共演していた。声に衰えは感じるものの、なんかいいぞ。
もう一回見直し。
隣で一緒に歌うクリス・マーティンがとても楽しそうだったせいもあって、もう一回見直し。
い~じゃん!
2018年、『サタデー・ナイト・フィーバー』が日本で公開されてちょうど40年。ビー・ジーズのメンバーもバリー・ギブひとり。長いこと閉ざしていた扉を開けて他の曲も聴いてみよっと。
※2016年12月5日に掲載された記事をアップデート
2018.07.22
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