2018年 7月6日

武道館で初ジュリー!沢田研二・古希ツアー初日ルポ(開演後バクバク篇)

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沢田研二の70YEARS LIVE「OLD GUYS ROCK」(初日)が日本武道館で行われた日
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5時過ぎ、武道館の客電が落ちた。

黒い空間に大きな真っ白のシートがするすると下りてくる。そこにジュリーともうひとりの男性の、年代を追った顔のコラージュ映像が映し出された。これがカズ君だった。

そこでファンは悟ったようだ。「ああ、やっぱり2人なのだ」と。

そして一曲目。柴山和彦氏のギター一本をバックに、男2人の「カサブランカ・ダンディ」が始まった。

きゃああああ! ジュリー!

声ツヤツヤ! ハリがあって伸びやかで、全く変わらない! ギターも力強く、2人でも何の遜色もない。だがその衣装は一体… と驚く。ジュリーはゴージャスなフワフワのピエロの衣装をまとっていた。ピエロのまま、「カサブランカ・ダンディ」の、あの口から水を吹くスプラッシュ技を何度も決めてくる。

私はすごいものを観ている。手に汗を握った。2曲目まではステージを駆け回っていて、年齢を考え少しハラハラして観ていたが、友達に言わせるとこれがいつものジュリーなのだそうだ。

「ありがとう?! サンキュー! ありがとうね?!」

独特の京都弁トーン(?)で繰り出す MC も可愛くておかしかった。

この後は、ほぼ知らない曲のオンパレード。ジュリーらしいメッセージ性の強い歌が続く。でもあくまでも全てがエンタテインメント感モリモリの、ジュリーならではのロックンロールに仕上がっていて、全然力みがない。余裕綽々で楽しませてくれる。そこがすごかった。すごすぎた。

屋久島を題材にしたファンタジックな「屋久島MAY」も良かったし、新宿にあったライブハウス「ACB」をテーマにしたであろう「A・C・B」はノリノリだった。ファンの間では振り付けがきっちり決まっているらしく、私も必死に参加した。そうして第一部が終わり、第二部がスタート。なんとジュリーはお色直しをし、黒を基調にしたスコットランドのキルトスタイルで登場した。

きゃあああ似合う! カッコいい! ジュリー!

ステージのジュリーはとにかく格好よいのである。

ここで漫談(?)の時間が入り、彼は今回のステージ構成について滔々と語り始めた―― ギターと2人だけ、これは「構想12年、リハーサル10日、休み4日」と何度も繰り返していた。還暦公演の前から考えていたそうで、ギタリストのカズ君を信頼しているのがうかがわれる。

「どれだけお客様を驚かせ、プレッシャーをかけるか、百も承知でやりました」

「大丈夫、こんなもん、慣れますから」

ひえー、今日初日。ファイナルの武道館まで60公演以上、ずっとこれをやるのだ。たった2人で争うような、助け合うような、緊張感ギリギリのステージをこなすのだ。ジュリーの豪傑さ、恐るべし!

トーク後は、お手上げなどの振り付けが楽しいアゲアゲのナンバー「ROCK'N ROLL MARCH」へ。そこから「ヤマトより愛をこめて」がしっとりと披露された。素晴らしい歌声、素晴らしいギター、深い余韻に酔いしれていたら… 客電がついた。

え、終わり??

東京は夜の7時前。開始から約1時間半である。短いとは思ったけれど、流石に2人きりではこのくらいが限度かもしれない。ジュリーの声、最後は少しだけどかすれていたし。

唸ってしまった。全ファンの予想の斜め上を行く内容。私の予想など裏切られまくりだ。古希のお祝いと思ってお祭りムードで駆けつけたら、「ドラムを背負って一人で楽器を全部こなすイギリスのパンクミュージシャン、ビリー・ブラッグ」を思わせるような、ストレートでシンプルなステージを観せられてしまってどうしよう、である。ファンは皆驚いていたし、後から感想を調べたけれど、やはり戸惑っている方が多いようだった。

でもね、でも――

「ライク・ア・ローリング・ストーン」ボブ・ディランも歌っている…。変革は楽しい。変わっていくことは人間に必要だ。常に自分革命なのだろうと、こわっぱの私は思った。

齢70にして、インディペンデントの姿勢を貫き、歌いたい歌を歌い、新たな試みに飛び込み、軽々と自身を変えていく。そんなジュリーこそがロックンロールではないのかと。

酸いも甘いも知り尽くし、経験も知識もあまりあるこの恐るべき頑固一徹エンターテイナーは、それでも自分本位にならず、観客を決して置きざりにしない。どんなチャレンジも堂々たるエンタテインメントにしてステージで、時にコミカルに、時になまめかしく披露してくれるのだ。最強だよ、ジュリー。最強!

こんなステージを観せられたら、次の展開も楽しみで仕方がないじゃないか! 次のジュリーも観せてくれ! そのために私も次に向かう。だから、どうかジュリーも元気に転がり続けてほしい。

お願いジュリー!

2018.08.05
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  YouTube / rocks off


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TOLLEY
数年前に急に「ジュリー」のファンになった者です。個人的にある時期までをジュリーと呼び、それ以降は沢田研二と呼んでおります。最近の沢田さんの映像や画像は避けて通っていたのですが、先日、姪に最近の沢田さんの画像を何十回もラインで送られるという嫌がらせを受けてから、麻痺したのか、古稀のステージを観ておかねばならないのではないか。。。という気になってきました。しかし、YouTubeで「ギターだけ云々」とのコメントを読み、一体全体どういうこっちゃと。。。で、こちらのルポを拝読させていただいた次第でございます。とても参考になりました。ありがとうございます。
2018/08/25 08:56
3
返信
1968年生まれ
親王塚 リカ
こんにちは。参考にしていただいたこと光栄です。ありがとうございます!私は初のジュリーライブでしたが、とにかく驚くことばかりw でも心から楽しめました。ぜひご覧になっていただきたいです!私ももう一度観るつもりですよ!
2018/09/08 09:42
2
1967年生まれ
まるーべり
この話は最近の沢田研二の話だろうか?
2018/08/05 17:21
1
返信
1968年生まれ
親王塚 リカ
こんばんは。はい、そうですよ。
2018/08/20 01:31
1
カタリベ
1968年生まれ
親王塚 リカ
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