カナダが生んだ、殿堂入りの偉大なる3人組バンド、ラッシュ。vol.1で地味なメンバーと書いてしまいましたが、補足させていただくと全体的に派手さに欠けるという意味で、それぞれアーティストとしては、もはやレジェンド級のスーパーメンバーたちです。 改めてそのメンバーを紹介させてもらいます。バンドの顔ともいえるのがヴォーカル、ベース、キーボードのゲディ・リー。中性的で「魔女」と称されることもあるそのハイトーン・ヴォーカルが魅力でもあり、ラッシュが苦手な方の理由だったりもします。しかしながら、ベースを弾きながら歌い、シンセを操るひとり3役ぶりのそのさまは凄い!のひとこと。演奏は熱くてもクールに魅せるその佇まいも落ち着いたものです。当然、バカテク。 バンドにおける最も静かな男がギターのアレックス・ライフソン。とはいっても彼のギターから繰り出される音色の豊かさとドライヴ感がサウンドの要といっても過言ではありません。80年代くらいにはスーツスタイルで演奏するなどハードロック系のバンドとしては服装でも特異(?)な存在でもありました。勿論、バカテク。 私はドラムという楽器を演奏することはありませんが、どうしても先生と呼んでしまいたくなるのがドラムのニール・パート先生。実際にドラム講座的なものをよく開催しているのもあるのですが、ロック界における彼の称賛のされ方や、マジメで実直なようにドラムを叩いている(ってどんな叩き方じゃって言われそうですが、そんな雰囲気なんです)佇まいから先生と呼ばずにいられないのです。 世界の音楽誌における「史上最高のドラマー」の5位以内にはほぼ入ってる彼のドラムセットは「要塞」と呼ばれ、彼が座る椅子の周り360度すべてにドラムがセットされており、そのプレイをとらえるために、ラッシュのライヴ映像では必ずといってもいいほどドラムの上方からのカメラアングルが施されます。SF小説が好きで、PKディックなどから影響を受けるなど歌詞の大半を彼が担当。史上最高峰のバカテク。 ということで、ここではそのニール・パート先生の全方位ドラムの映像から幕を開ける「ミスティック・リズムス」を紹介します。スタジオアルバムとしては11枚目となる『パワー・ウィンドウズ』からの4枚目のシングルです。85年作ということもあり、MTV全盛時らしい80’sぽいシンセが強調されたアルバムでした。どこかしらビデオでの彼らの服装もニュー・ウェイヴっぽい。とは言え、ゲディのヴォーカルが被さるとやっぱりどこから切ってもラッシュです。 彼らはデビューからずっとサウンド的には冒険と変化を積み重ねているのですが、器用なので割とサラッとやり遂げてしまいます。ですので、アルバムごとに「衝撃作!」「問題作!」などと評されることなく、この80年代などはあまり話題になりませんでした。しかしながらしっかりこの時代もファンを増大させ、動員数も伸ばし続けていたのです。88年の『新約・神話大全(Show Of Handa)』(ナイス邦題!)のライヴ映像からもその凄さが伝わりますので一度ご覧ください。 (vol.3に続く)
2016.12.06
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