僕は、3年くらい前にタワーレコードを辞めて、縁もゆかりもなかった岡山に移住して、地域のアイデンティを込めた広告や商品をつくるインディペンデントな広告会社「ココホレジャパン」を設立しました。
例えば、淡路島の広告では、本物のたまねぎをクレーンゲーム機に入れた「たまねぎキャッチャー」を企画したり、酢漬けで食べられる岡山を代表する魚「ままかり」をつかったアンチョビ「ままチョビ」をつくったり、東京の劣化版ではない、その地域でしかできない広告をつくってまして、メディアに取り上げられちゃったりして、タワーレコード時代より有名人です。
なーんて言えば、聞こえはいいですが、所詮、インディペンデントなベンチャー企業は火の車。サラリーマン時代は黙ってても給料は振り込まれたし、精算も経理がやってくれた。資金繰りなんてしたことなかったけど、今は全部自分でやる。DIYっちゃそうですけど、資金ショートしそうとか、マジ鬱です。
僕は思いっきりグランジ世代で、絶望ばかりしてました。バブルははじけてるし、就職難だし、好きな子にはフラれるし、女の子なんて高校生の頃は女子大生ブームで、大学になったら女子高生ブームがくるっていう「狭間の世代」だったと思います。たしか高校生の頃は「ルーズソックス」じゃなくて「くしゅくしゅソックス」とか言ってた。
「俺達は不幸な時代に生まれた不幸な世代なんだ」って思ってました。
そんな時代の不幸を背負ってカートは、その先の希望を歌うことなくあっけなく死んじゃうし。僕が好きだったアリス・イン・チェインズのレインもブラインド・メロンのシャノンもみんな死んじゃいました。
僕も今やカートよりもレインよりもシャノンよりもすっかり年上になったんですが、今思うと当時の絶望なんて大したことなかった。会社の資金繰りに比べればどうってことない。そりゃ悲しいことはあったけどね。
今も「問題」はいっぱいあって、少子高齢化とか過疎化とか格差とか、政治的にもいろいろある。悲しみも苦しみも痛みいっぱいあって、今の若い子たちも「俺達は不幸な時代に生まれた不幸な世代なんだ」って思ってるかもしれない。
けれど、きっとそれもいつかは「どうってことなかったな」って思えるんじゃないかな。時代なんていつも大変で、激動で、たぶん有史以来ずっとそうだったんだと思うんです。今と昔の不幸比べをしても仕方ない。僕らはその先の希望を歌うしかないんです。
なんちて。
2016.01.28
YouTube / PearljamVEVO
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